研究課題/領域番号 |
23560165
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
今戸 啓二 大分大学, 工学部, 教授 (80160050)
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キーワード | 機械要素 / 自己締結 / クラッチ / 軸継手 |
研究概要 |
ベルト式クラッチを試作して実験による確認を行った.軸とベルトとの摩擦係数,ベルトとベルトとの摩擦係数,巻き付け回数をそれぞれ変化させ,自己締結状態を評価した.その結果,自己締結条件は理論式通りであることを確認した.原軸と従軸の軸芯がオフセットした状態での実験も行った.オフセット量を正確に測定する方法を考案した.面積速度から角速度を求める方法を考案し,時間微分で求める方法より高精度で求まるようにした.実験的に得た角速度を元に,軸芯オフセットがある場合の従軸と原軸との角速度の理論的関係式を機構学的に解析し,理論式より求めた従軸側の角速度の時間的変化は,実験値と殆ど一致することを確認した.角速度の理論式より角加速度の理論式も求めた.慣性モ-メントを実験的に測定する方法を考案し,ベルトに作用する動的張力が計算できるようになった.軸とベルトとの摩擦係数μ,ベルトとベルトとの摩擦係数μbを,μ>μb,μ=μb,μ<μbの三種類の場合についてモータ-起動時の角加速度の過渡的変化を測定した.その結果,理論通りにμ>μbの場合に最も急速且つ確実に自己締結することが分かった.またμ=μbの場合にも自己締結する理由は,スチ-ルベルトの弾性による初期接触圧力によるものと推定し,初期接触圧力を推定する数値計算を行った.ベルト式クラッチを応用した後輪操舵方式の三輪車の二次試作を行い,μ>μb,μ=μb,μ<μbの三種類の場合について,発進時のペダリング感覚を評価した.その結果,理論通りにμ>μbの場合に,通常の自転車のラチェットのような結合感であることを確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
角速度と角加速度の理論式の導出に成功して,実験値と一致することも確認した.クラッチを応用した三輪車も試作してクラッチの結合感を体感できるようになった.クラッチ起動時の過渡期の自己締結状態を評価して,理論式通りの運動であることを確認した.
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今後の研究の推進方策 |
三輪車はカ-ブを曲がる際に,曲がり難いことが分かった.そこで自転車がカーブを曲がる際に,車体をカ-ブの内側に倒して曲がるように,三輪車の車体の一部を自転車のように傾斜可能とするスイング式の三輪車を新たに試作する.またクラッチの軸芯をオフセットさせた場合に生じる角速度変動を,逆に変速機に応用した機構の開発を行う.
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次年度の研究費の使用計画 |
H24年度は実験と解析を主に行ったため研究費が残った.H24年度の残額は,H25年度にスイング式の三輪車の三次試作費と,軸芯をオフセットさせた場合に生じる角速度変動を,逆に変速機に応用した機構の開発に充てる.
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