ベルト式クラッチの試作機を用い,原軸と従軸の軸芯間にオフセットがある場合の角速度を求める方法を機構学的に解析し,理論式を得た.理論式より求めた角速度と,実験より求めた角速度の値を比較した結果,殆ど一致することを確認した.また軸心間にオフセットがある場合,従軸側の慣性モ-メントの大きさが,従軸側の角速度変動に及ぼす影響を理論的・実験的に考察した結果,従軸側の慣性モ-メントが大きくなる程角速度変動の小さくなることを確認した.また負荷トルク(ブレ-キトルク)の大きさが,従軸側の角速度変動に及ぼす影響を実験的に評価した結果,負荷トルクが大きい程,理論的角速度に近づくことを確認した.このことは角速度が変化する場合も自己締結状態が破壊されないことを示している.またベルト同志の摩擦係数を下げるため,ナノダイヤモンドを複合メッキしたステンレススチ-ルベルトの摩擦係数を評価した.その結果,ナノダイヤをメッキすることで,摩擦係数は20%程小さくなることを確認した.ベルト式クラッチのワンウェイ性を利用し,ベルト式クラッチを差動装置の代用として用いた後輪駆動式三輪車を試作した.その結果,スム-ズにカ-ブを曲がれることを確認した.
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