研究課題
平成23年度は,面方位<221>結晶面を表面とするシリコンウエハの異方性エッチング加工による非対称微細周期構造の生成技術の適用を検討した.面方位<221>の結晶面をエッチング加工すると,結晶面の方向によってエッチング速度が異なる.これらの特性を利用して,周期的な非対称三角形構造を均一に生成できる.これらの手法を用いて,3種類の非対称加工表面を生成したものの,エッチング不足やオーバーハングにより,本来の結晶面が露出せず,理想的な対称性が得られなかった.平成24年度は,エッチングパラメータを見直し,エッジがより露出した4種類の微細加工表面が得られた.これらの表面について,走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて表面形状を計測し,非対称性と均一性を検証した.その結果,生成された非対称微細周期構造の先端にレジストが残っているために平坦な部分が残っているものの,仰角が面方位<221>結晶体の理論値に近い値を有していることがわかった.これらの表面について,微小物体の摩擦角計測実験を通して,全ての表面が摩擦の非対称性を有することがわかった.微小物体の輸送実験により一方向輸送の実現性を確かめ,粒子像追跡型速度解析により運動を解析し,従来の表面よりも安定した輸送を実現できていることがわかった.平成25年度は,幾何学的パラメータが輸送におよぼす影響について検証した.ここでは,表面の周期構造におけるピッチと,輸送される微小物体の代表長さの比をパラメータとして,これらのパラメータを一定になるように微小物体のサイズやピッチを選定し,輸送の違いを検証した.その結果,同一の比を有している場合でも,ピッチが大きい方がより高速に輸送できることが分かった.次に,微小物体の輸送モデルを検討した.ここでは,空気抗力を考慮したダイナミクスを導出し,それらを用いてシミュレーションを行い,実験結果と比較し,妥当性を検証した.
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IEEJ Trans. on Electrical and Electronic Engineering
巻: Vol.8, Issue S1 ページ: S102-S105
新学術領域 生物規範工学ニュースレター
巻: Vol. 2, No. 2 ページ: 29-30