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2011 年度 実施状況報告書

CVDダイヤモンドが真空中で超潤滑特性を発現するメカニズムの研究

研究課題

研究課題/領域番号 23560172
研究機関福井工業大学

研究代表者

神田 一隆  福井工業大学, 工学部, 教授 (60091675)

研究分担者 玉置 賢次  地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター, 開発本部開発第1部, 研究員 (20463052)
中村 健太  地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター, 開発本部開発第1部, 研究員 (20556849)
研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワードダイヤモンド / CVD / 真空 / 摩擦係数 / メカニズム / 研磨 / トライボロジー / 摺動部品
研究概要

平成23年度はCVDダイヤモンドが真空中で特定の金属との間で超潤滑現象を発現するメカニズムを解明するための実験を行うこと、および平滑なCVDダイヤモンドを得るために、製造段階から平滑化する研究、および成膜後のCVDダイヤモンドを平滑化する研究を開始することを本年度の目標とした。真空中で超潤滑現象を発現するメカニズムの方は、真空中で実験するための表面を平滑化したCVDダイヤモンド試験片の準備まで行った。この試験片はダイヤモンド砥石でCVDダイヤモンド膜を研磨するとき、試験片の外周が研磨され、内部が研磨されないこと、ならびに研磨面積が多いと研磨が進みにくいこと、強く研磨すると、丸みの小さなエッジ半径を持つ部分から剥離しやすいこと、を考慮して摩擦試験に必要な部分のみを研磨するような構造として製作した。このような工夫をして製作した鏡面研磨CVDダイヤモンドと先端半径が3mmのピンを用いて、真空中の代替としてのアルゴン中と大気中で往復式の摩擦試験を行った。その結果、金属(高速度工具鋼SKH51)とCVDダイヤモンド摩擦特性は大気中とアルゴン中では大差がないことがわかった。大気中で荷重を変化させて行った試験では、荷重の増加とともに摩擦係数が低下し、一体荷重以上では一定になることを見出した。これより金属との摩擦により生じた摩擦熱で、CVDダイヤモンドが黒鉛化し、その黒鉛が摩擦面に介在して低摩擦係数を引き起こしていることの証拠となっていると結論することができた。また、金属の介在でダイヤモンドの黒鉛化が促進されていると考えられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成23年度はCVDダイヤモンドが真空中で特定の金属との間で超潤滑現象を発現するメカニズムを解明するための実験、製造段階から平滑なCVDダイヤモンドを得るためのCVDダイヤモンド合成装置の準備、および成膜後のCVDダイヤモンドを平滑化する研究を開始することを本年度の目標とした。真空中で超潤滑現象を発現するメカニズムの調査研究は真空中で実験するための専用の試験片の製作を行うとともに、真空の代替としてのアルゴン中での実験を行い、CVDダイヤモンドが超潤滑現象を発現するメカニズムの糸口をつかむことができた。したがって、この研究の進捗は100%である。平滑なCVDダイヤモンドを成膜する研究は平成23年度の目標がCVDダイヤモンド合成装置の製作までであり、現在は装置の製作が一部の電源配線を残した状態で未完となっているが、主要な作業が終わり、完成直前の状態であるので、進捗率は約90%である。 CVDダイヤモンドの研磨による平滑化に関する研究は、平板状の基板の研磨であるが、効果的に研磨することができ、当面の目標は達成しており、進捗度は100%である。

今後の研究の推進方策

平成24年度はCVDダイヤモンドが真空中で特定の金属との間で超潤滑現象を発現するメカニズムをさらに詳細に調査するため、昨年度に製作した表面を鏡面に研磨した試験片を用いて実際に真空中で摩擦試験を行う。真空の代替としてのアルゴン中での試験も継続するとともに、窒素ガスなどの他の雰囲気でも実験を行い、超潤滑現象の発現メカニズムをさらに詳細に理解できるようにする。 また、前年度に改造したCVDダイヤモンド膜コーティング装置を用いて、製造段階で表面研磨が不要な程度に平滑な膜を得る研究を行う。より具体的には、CVDダイヤモンドの成長段階でこれまでに考えられている様々な核発生手法を用いてダイヤモンドの結晶が大きくならないように制御する方法、および特定の結晶方位が表面を向くように条件を制御する方法を試みる。また、平滑なCVDダイヤモンド膜が得られない場合でも、後工程の平滑化加工を容易に行うことができるように非ダイヤモンド成分が少しだけ多いが耐摩耗性はあまり低下しないようなダイヤモンド膜をコーティングする研究も行う。曲面にコーティングされたCVDダイヤモンド膜は平板のようにダイヤモンド円盤砥石を用いて容易に平滑化することができないので、実用化に向けて平面以外にコーティングされた膜でも研磨できる技術の調査を開始する。 平成25年度には真空中でも使用できる摺動部材への応用を目指して、軸受けなどの実用部品を用いた試験を行う予定である。そこで、そのような試験装置を持つ宇宙航空研究開発機構などとの打ち合わせを行い、準備を進める。

次年度の研究費の使用計画

設備改造にともなう備品などの調達は済んでいるので、主な研究費は(1)物品費(消耗品)、(2)研究旅費、(3)その他となる。(1)物品費は実験に必要な基板材料、相手材材料、コーティング費用、研磨材費用、アルゴンなどのガス費用、実験用の各種治具、洗浄剤、等々に使う予定である。(2)旅費は研究者間の打合せ、およびトライボロジー学会、表面技術協会、精密工学会などでの研究成果発表と情報収集に使う予定である。(3)その他の費用は主に投稿料、実験に用いた試験片の分析費用などに使用する予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2011

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] Friction characteristics between CVD diamond film and stainless steel under2011

    • 著者名/発表者名
      Kenta Nakamura, Kenji Tamaoki, Kazutaka Kanda, Masahiko Jin and Kazuo Nakama
    • 学会等名
      International Tribology Conference
    • 発表場所
      Hiroshima
    • 年月日
      Oct. 30 - Nov. 3, 2011
  • [学会発表] 真空下でのCVDダイヤモンド膜とSUS材の摺動特性2011

    • 著者名/発表者名
      中村健太、玉置賢次、神田一隆、神雅彦、中間一夫、前田雅人
    • 学会等名
      トライボロジー会議 2010春
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2011年5月23-25日

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公開日: 2013-07-10  

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