研究課題/領域番号 |
23560173
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研究機関 | 沼津工業高等専門学校 |
研究代表者 |
小林 隆志 沼津工業高等専門学校, 機械工学科, 教授 (10161994)
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研究分担者 |
辻 裕一 東京電機大学, 工学部, 教授 (10163841)
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キーワード | ガスケット / フランジ締結体 / 高温 / 変形特性 / 密封特性 |
研究概要 |
本研究は高温におけるガスケット特性を解明し,さらにボルト軸力の観点からフランジ締結体の寿命予測方法を確立し,化学プラントなどで使用されるガスケット付きフランジ締結体の安全性・信頼性を向上させようとするものである。 平成24年度実施予定であった検討事項について実績を述べる。 (1) 高温におけるガスケット特性試験について: これまでの検討により,初期なじみによるガスケットの厚さ変化はガスケットに作用する最高ガスケット面圧と最高温度によってほぼ決まることを明らかにし,ガスケットの変形量(厚さ変化)と温度の関係を等高線表示して示す基本的な方法は確立できた。今年度はレーザー変位計を用いた新しい試験装置により,試験データを追加する計画であったが,試験プラテン部分の製作が遅れていて,ガスケット特性データベースを構築するためのデータの蓄積はまだ十分でない。 (2) フランジ締結体の寿命予測法の確立: フランジ締結体を用いた試験装置によって,昇温時のボルト軸力の減少挙動を検討した。検討項目(1)のガスケット特性,フランジ締結体の変形解析結果およびフランジ締結体の締付け線図を用いて,残留ボルト軸力を予測する方法を提案した。これにより,フランジ締結体の使用条件(温度,ボルトの初期締付け力)を与えれば,使用条件下での残留ボルト軸力の予測が可能となり,フランジ締結体の安全な使用に寄与する。計算結果と実験結果の一致が十分でないので,その原因を検討している。 (3) 試験方法の規格化と結果の公表: ガスケット試験のための試験方法の文書化を進めている段階である。(2)の結果の一部は,2013年7月にフランス パリで開催されるアメリカ機械学会 圧力容器と配管に関する国際会議で発表する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
「研究実績の概要」で述べたとおり,平成24年度実施予定であった, (1) 高温におけるガスケット特性試験,(2) フランジ締結体の寿命予測法の確立の2点について,基本的な方針はほぼ確立できた。当初計画していたレーザセンサによるガスケット変形量測定は,試験プラテンの製作が遅れているので,平成25年度に実施とすることとした。共同研究者辻教授とは連絡を密に取って試験を進めているが,データベースの構築のためのデータ収集が十分でない。成果の一部は国際会議のプロシーディングとして投稿済みであり,ガスケット試験方法の文書化も進めている。ガスケット試験はやや遅れているが,研究は着実に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度は高温ガスケット特性試験装置を完成させて,データ収集を行う。データを充実させ,ガスケット特性のデータベース化を行う。さらに適切なガスケット試験のための試験方法の規格化を行う。 残留ボルト軸力の観点からフランジ締結体の寿命予測方法を確立し,フランジ締結体の維持・管理方法,適切なガスケットの選定指針の確立を行う。フランジ締結体の漏えい量測定実験結果から,実用上問題のない漏えい量をガスケットの圧縮量から推定する方法を確立する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成23,24年度の研究により得られた成果を,2013年7月にフランス パリで開催されるアメリカ機械学会「圧力容器と配管に関する国際会議」PVP2013で発表する。研究費は国際会議出席のための旅費に使用する。その他の費用については実験消耗品,実験補助の謝金で使用する計画である。
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