研究課題/領域番号 |
23560177
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研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
村上 敬 独立行政法人産業技術総合研究所, 先進製造プロセス研究部門, 主任研究員 (40344098)
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研究分担者 |
日比 裕子 独立行政法人産業技術総合研究所, 先進製造プロセス研究部門, 主任研究員 (50357844)
間野 大樹 独立行政法人産業技術総合研究所, 先進製造プロセス研究部門, 研究員 (40344212)
松崎 邦男 独立行政法人産業技術総合研究所, 先進製造プロセス研究部門, 研究グループ長 (20181711)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | トライボロジー / 表面・界面物性 / 金属物性 / 環境対応 / 材料加工・処理 |
研究概要 |
砂鉄等によるFe-Si系合金の最適製造条件の探索については、砂鉄-硅砂-人造黒鉛混合粉末をアルゴンガス雰囲気下1600℃までDTA分析を行い、1200℃付近に大きな吸熱ピークが生じることを明らかにした。その他周辺温度域にも小さな吸熱、発熱反応が若干見られたが、各々の反応については今後XRD分析などで詳細に確認する予定である。 Fe-Si系合金の低摩擦機構の解明については、Fe-Si系以外の遷移金属シリサイド(MoSi2、ReSi1.8など)の摩擦試験結果の比較より、Feにも摩擦低減作用のあることを明らかにした。摩擦試験中Fe成分は層状構造をもつFe(OH)2などになっている可能性があるが、確認する方法については今後検討する予定である。 エタノール中で最も低摩擦・低摩耗になるFe-Si系合金の組成解明については、組成Fe-(66.7~96.0)at% SiのFeSi2-Si系が最も低摩擦になることを明らかにした。またこのFeSi2-Si系について、マイクロビッカース硬さはSi濃度が高くなるほど増大するが、耐摩耗性は逆に悪化するという一般の摺動材料とは異なる特異な現象も見られた。さらにAl-Si系合金の摩擦試験結果より、エタノール中ではAl成分も摩擦低減効果のあること、及びガソリン-エタノール混合液を模したヘキサン-エタノール混合液中、Al-Si系合金はエタノール濃度が高いほど低摩擦、低摩耗になることを明らかにした。今後Fe-Si系合金についてもヘキサン-エタノール混合液中での摩擦摩耗特性を確認する予定である。 さらにこれらの硬質材料をコーティングする方法についても検討を行い、片状黒鉛鋳鉄が基板の場合はパックセメンテーション法が有望な方法であることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
砂鉄-硅砂-人造黒鉛の熱処理による鉄シリサイドの作製についてはまだ熱処理条件を詰め切れていないが、低摩擦機構の解明や低摩擦・低摩耗組成の解明などについてはほぼ順調に進んでおり、またパックセメンテーション法などによるコーティングも条件等が明らかになってきていることから、おおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
平成23年度で得られた結果などを基に、さらに適正条件を詰めた低摩擦・低摩耗材Fe-Si系合金の組成を明らかにし、かつこの合金の砂鉄、硅砂などからの適切な製造方法を明らかにする。さらにこの合金をパックセメンテーション法やスパッタ法を用いて、それぞれ鋳鉄やアルミニウム合金基板に被膜として形成させる方法を明らかにする。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度以降鋳鉄やアルミニウム合金基板へのコーティング処理が重要になってくるが、平成23年度のパックセメンテーション法で使用した電気炉は、炉の内壁の材質が金属で腐食しやすく、年度末にセラミックス製が好ましいことが明らかになった一方、平成23年度予算、あるいは24年度予算のみで新規に電気炉を新たに準備するのは他にも使用予定があるなど非常に難しいため、平成23年度予算の一部を残し、平成24年度予算と合わせることで、電気炉を準備することにした。
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