研究課題/領域番号 |
23560180
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研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
船崎 健一 岩手大学, 工学部, 教授 (00219081)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | ターボ機械 / 剥離制御 / 翼列試験 / CFD |
研究概要 |
ターボ機械は,発電,輸送など,エネルギー分野で極めて重要な役割を果たしており,エネルギーコストの高騰の最中その高効率化は極めて重要な課題である.また,スマートグリッドや再生可能エネルギーの導入機運の高まりにより,ガスタービンなどではベースロードを担うだけでなく,広範囲の負荷調整が求められており,ターボ機械の作動範囲の拡大とそれぞれの作動的における流れ制御による効率維持の機構が重要となっている.ガスタービンの代表例であるターボファンエンジンは,エンジンの前方に位置するファンを駆動することにより推力の大半を得ている.そのため,ファンを駆動している低圧タービンの高性能化はエンジンの高性能化に際し必要不可欠であると言える. 低圧タービン部はエンジン全重量の3分の1を占めるものも存在し,翼枚数の削減による軽量化設計(高負荷設計)が望まれている.しかし,翼枚数の削減は翼負荷を高め,翼負圧面下流部においては強い逆圧力勾配により剥離が生じやすくなるため,高効率の維持が困難となる.そのため,剥離制御による高負荷設計の実現に向けた研究が数多くなされている.Funazakiら[1]は典型的な航空用低圧タービン直線翼列を用い,ソリディティを削減することで,高負荷状態を模擬し,翼面負荷分布や翼面境界層計測を実施し,円柱により発生させたwake通過の効果に関して議論している.また,翼面上に制御デバイスを用いることで剥離を制御する試みもなされている. 本研究では,低圧タービン直線翼列を用い,翼負圧面上にスパン方向に均一な2次元的な制御デバイスを用い,実験では,静圧孔及びピトー管を用いた空力計測,熱線流速計を用いた境界層計測を実施し,数値解析では,汎用ソフトを用いた大規模非定常解析を実施することで,制御デバイスが流れ場に与える影響を明らかにした.また,後縁形状の効果も調査した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1)剥離を制御する2次元デバイスを装着した翼列試験を実施し,その剥離制御機構を詳細な計測とCFDを通じて明らかにするとともに,デバイスの適用限界レイノルズ数を明らかにした.その際,実機への適用を踏まえ,実験条件効果(wake,主流乱れ)についても調査した.さらに,デバイス形状について,その高さを変化させた場合の剥離制御の程度をCFDを用いて明らかにした.(2)剥離制御において,流れの非定常性が重要な役割を果たしていることを,大規模LESによる非定常乱流解析により明らかにした.(3)翼後縁形状を変化させることで,高レイノルズ数条件下で効率改善の可能性を見出した.これにより複合化デバイスへ繋がる知見を得た.
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今後の研究の推進方策 |
平成23年度で得られた知見を元に,複合化されたデバイスを装着した翼による翼列試験を様々な流動条件で実施し,また,CFDによるシミュレーションや数値的な最適化なども行うことで,実現性の高い複合デバイスを見出していく.また,回転試験用の3次元翼設計なども行い,実際の回転試験に供することで,実機環境下での性能を明らかにするとともに,性能改善に向けての知見の蓄積,データベースの蓄積を更に推し進める.
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次年度の研究費の使用計画 |
(1)翼列試験用供試翼の製作(2)3次元設計のためのツール開発(3)回転試験のための既存装置の改修(4)大規模CFD計算用役費
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