研究課題/領域番号 |
23560182
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
茂田 正哉 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (30431521)
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キーワード | 流体工学 / プラズマ工学 / ナノ粒子 |
研究概要 |
本年度も、前年度に引き続き実験および理論・数値計算の両面から、ナノマテリアル創製システムの土台を構成する個々の基礎プロセスに着目して多角的なアプローチを図った。まず化学工学的立場から生体親和性の強いチタンがプラズマ流中で共凝縮によりホウ化物ナノ粒子を形成する過程を実験および数値計算によって詳細に調べ、各種パラメーターが生成物のサイズや機能性に与える影響を明らかにした。一方で流体工学的なアプローチとして、高周波誘導結合型プラズマ流と直流プラズマジェットの相互干渉現象の非定常3次元数値計算に世界で初めて成功した。この成果により、プラズマ装置内部の電磁熱流動場とその渦構造に関する新たな知見が得られ、今後のプロセス設計の指針が見出された。またナノ粒子群成長の本質的な機構を考慮しながらも簡易的に計算することができる方程式系を理論的に導き、この新モデルがこれまでしばしば用いられてきた煩雑な計算モデルと同一の結果を与えることを示した。この成果により、今後の大規模計算における計算負荷の軽減が期待できる。さらに粒子法の一種であるSPH法を用いて、液膜の飛散現象および液中気泡の消滅現象のシミュレーションを試み、プラズマ流中における前駆体溶液の分裂および蒸発過程についての粒子法の適用可能性を見出すこともできた。加えて流動場の高効率な制御を目的として、翼型と噴流を組み合わせた乱流発生デバイスや蛇行低速ストリーク発生デバイスの開発を行った。デバイスの設計には遺伝的アルゴリズムを用いた数値解析的手法も取り入れており、現在も進行中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
より正確に物理現象を再現し詳細な知見を得るための数値計算手法の開発およびシステムの土台を成す個々の基礎プロセスに関する実験的研究は順調に進展しているが、大気圧中温プラズマ流によるナノマテリアル創製の統合的なシステム化についてはやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに得られている知見を基にして、数理モデルや計算アルゴリズムの深化も図りながらスーパーコンピューターを利用した高精度の大規模計算による現象解明を試み、さらに有効なシステムの設計指針を得る。またエアミスティノズルと送液デジタルポンプを組み合わせた前駆体溶液注入デバイスの開発・改良を行う。そして大気圧中温プラズマ流を用いたナノマテリアル創製プロセスについて、流動特性と物質機能の相関を見出し、システムの最適化を目指す。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用額は、当初計画していたプラズマ発生部および前駆体溶液注入デバイスの改良、高速データ処理装置の購入を次年度に延期することによって生じたものであり、それらに必要な経費として平成25年度請求額とあわせて使用する予定である。
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