申請者は,傾斜遠心顕微鏡を用いて,一定押し付け力の下でガラス平板に培養したHUVEC上を移動する好中球様細胞に分化したHL60の挙動を解析した.HL60は,押し付け力によって核のある中央が膨らんだHUVECの辺縁部を通ることが確認された.Pセレクチンは内皮細胞辺縁部に発現することから,血管内皮表面の凹凸は血球と内皮細胞の接着に寄与すると考えられる.また,剪断応力の負荷により配向したHUVEC上ではより直線的に移動するが,平均移動速度に有意な差は見られなかった.未分化のHL60を用いた場合には有意な速度の上昇が見られたことから,平均移動速度に関してはHUVECとの接着性が支配的であると言える.
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