研究課題/領域番号 |
23560185
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
足立 高弘 秋田大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60344769)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | Atomization |
研究概要 |
平成23年度は、まず円すい表面の可視化実験に取り組んだ。円すいは高速で回転しており、円すい表面の液膜にはコリオリ力が作用している。そのため、液膜は螺旋状の運動を行いながら円すいを上昇するものと考えられるが、可視化写真の結果では円すい表面を滑りながら直線的に円すいを上昇しているらしいことが分った。この可視化実験結果を第20回微粒化シンポジウムのフォトコンテストにて発表した。 次に、回転円すいの外表面を薄い液膜流が上昇するメカニズムを明らかにするために,回転円すいの浸水程度および回転円すい外表面の液膜厚さの分布を計測することに取り組んだ。浸水程度を示す量として円すいが浸かっている水の水位を超音波センサーを用いて計測した。この実験結果により回転数と浸水程度および微粒化して噴霧されるミストの流量の間の関係の一部が明らかになった。 一方、円すい外表面の液膜厚さについては,市販のレーザー変位計のデモ機を業者に借りて行なった。薄い液膜の厚みを計測するために、センサーを液膜のすぐ近傍まで近づける必要があったが、円すいの外表面にはミストや液滴が飛散してレーザーの測定部が濡れてしまい、計測が不可能であった。そのため、透明なアクリルでサイズの大きな円すいを作成し、円すいの内部をくり貫き、センサーを内部に入れ込んで計測を行うこととした。しかしながら、レーザー変位計自体は高性能なものであったが、円すいが6000回転程度の回転数で高速回転してるため、回転円すいの軸にブレが生じ、液膜の厚みを正確に測定することは出来なかった。レーザーによる方法がうまく行かなかった場合には触針法を試す予定であったが、平成23年度は、そこまで研究が進展しなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
回転円すいの外表面を薄い液膜流が上昇するメカニズムを明らかにするためには、回転円円すい外表面の液膜厚さの分布を計測することが必要である。業者にデモ機を借りて行なった実験では、ミストの飛散を防ぐため、サイズの大きな円すいを作成して円すいの内部をくり貫き、センサーを内部に入れ込んで計測を行うこととしたが、回転円すいの軸にブレが生じ、液膜の厚みを正確に測定することは出来なかった。このとき、ブレを少なくする工夫を施そうと試みたが、運悪くアクリルで作成したサイズの大きな円すいが割れてしまった。このことは、全くの予想外の事態であり、年度も後半であったため、新たに作り直すのに手間どってしまい、研究の進展がやや遅れる状況となった。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度は円すい外表面の膜厚測定実験から開始する予定である。大きなサイズの円すいを再度作成済である。円すいのブレを低減するため、ベアリングを用いて回転軸を固定したり、ユニバーサルジョントを用いてモーターの回転が滑らかに円すいの回転軸に伝わるように工夫を施す予定である。そして、業者からレーザー変位計を借りて予備実験を行う。 一方で、液膜流が微粒化されミストとして噴霧された液滴の噴霧特性(粒子径分布や最大粒子径等)について詳しく調べる予定である。本研究ではレーザー光源を利用した市販のレーザー回折散乱式粒子径分布計測装置を用いることにする。この装置の測定原理は,粒子に光を照射した時に各粒子径により散乱される散乱光量とパターンがそれぞれ異なることを利用している。この装置は,測定時間が短く,再現性・操作性の点でも優れており,粒子径分布測定装置の主流となっている。これに加えて,高速ビデオカメラによる可視化を行い画像処理によっても粒径の分布を調べる予定でいる。 粒径分布や最大粒径などの噴霧特性は回転数や供給する水の流量によって変化すると考えられる。また,円すい表面の性質(撥水性や親水性)によっても,必要な回転速度等が変化して生成されるミストの粒子径等に影響を与えることが予想される。 そこで,円すいの外表面に撥水剤や親水剤を塗布することにより表面の性質を変更したり,回転速度や流量および円すいの半径や頂角の大きさを変更することで噴霧特性への影響を明らかにし,それらの間の相関を求める。
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次年度の研究費の使用計画 |
回転円すい外表面膜厚測定では、まず業者にデモ機を借りて計測を行うが、実験がうまく行った場合には、そのセンサーを購入する計画でいる。 次に、液膜流が微粒化されミストとして噴霧された液滴の噴霧特性の計測においては、レーザー回折散乱式粒子径分布計測装置を用いる計画であるが、この装置はかなり高額であり購入は困難であることと、大型でデモ機を借りるということも困難と考えられるので、レンタルすることを計画している。
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