研究課題/領域番号 |
23560189
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
長谷川 富市 新潟大学, 自然科学系, 名誉教授 (80016592)
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キーワード | マイクロ流体 / 流れの停止 / 膜生成 / 生命起源 / 空気 / 有機物合成 |
研究概要 |
直径20ミクロンメータのマイクロチャンネルを通過する超純水、脱気した超純水、空気との接触を断った超純水、Arガスを吹き込んだ超純水、紫外線を照射した超純水、水道水について、圧力と流量を測定した。圧力はヘッドにより付加し、その範囲は50~1000Paである。得られたデータは現時点で10000点を越えている。これらの膨大なデータのまとめを行い、上記の流れはいずれも時間経過と共に流量が低下し、最終的には流れが零となる閉塞状態の生じることが分かった。この閉塞状態は、超純水の方が水道水よりも短時間で生じた。超純水に上記の種々の処理を施すと多くの場合流動性が向上する(閉塞が遅れる)。閉塞状態後のチャンネルを取出し顕微鏡観察すると、(1)チャンネル内に何もない、(2)チャネル内に水が存在すると格子状の構造が観られるが、乾燥すると何もない、(3)チャネル内に膜が生じている、という3つの場合のあることが明らかとなった。 チャネルに膜が生じた場合、空気に晒した超純水と、脱気した超純水・空気との接触を断った超純水・Arガスを吹き込んだ超純水との比較から、その膜は空気中の成分から生じることが明らかとなり、炭素、窒素などの無機物から有機物が合成された可能性のあることが、顕微ラマンやIRによる分析から明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究課題は、研究当初に予想していた流体力学の範囲を超えて化学の領域に大きく関係することが次第に明らかとなり、EPMA、顕微ラマン分析、IR分析などを使った物質特定の実験が必要となった。このため、予定よりも研究の達成度はやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
現時点で、チャネル中に生じた膜が水中に溶存する無機物から合成されたことを示す実験結果をある程度得ているが、今後はさらにそれを補強する実験を行う。この実験は順調に行けば数か月で終了する予定である。 実験終了後は英文論文を外国のジャーナルに投稿する。
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次年度の研究費の使用計画 |
膜の成分分析用機器の使用料、超純水装置のメンテナンス料、消耗品費、論文作成費などが次年度に見込まれるため。 分析機器使用料2万円、超純水装置メンテナンス7万円、論文作成費8万円 消耗品 など
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