研究課題/領域番号 |
23560190
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
瀬田 剛 富山大学, その他の研究科, 准教授 (50308699)
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キーワード | 懸濁液 / 格子ボルツマン法 / 埋め込み境界法 |
研究概要 |
懸濁液の沈降時に生じる界面不安定の発生メカニズムを、粒子と流体の微視的な挙動解析に基づき解明することが目的である。当年度は、埋め込み境界法を適用した格子ボルツマン法のGPGPUへの適用性評価を行った。格子ボルツマン法では、9方向の離散速度に対応した分布関数が独立に運動することで、系全体の流体運動が再現される。そのため、分布関数が独立に運動する格子ボルツマン法は並列効率が高く、GPGPUによる計算に適している。並列効率の高い格子ボルツマン法を、本年度購入したGPGPU専用計算機に適用し、高速計算に対する有効性を実証した。しかし、埋め込み境界法を格子ボルツマン法へ適用すると、GPGPUによって計算される数値解に数値的不安定が発生した。原因として、粒子相互作用力の重ね合わせによって生じる不安定性と、埋め込み境界法を適用した格子ボルツマン法に生じる流速の滑りや流速の値の低下の問題が挙げられる。前年度、流速の滑りの問題は複数の緩和係数を用いることにより解決されたが、速度の低下の問題は完全に解決されていなかった。本年度、埋め込み境界法において計算される外力を緩和時間の関数にすることで速度の低下の問題が完全に除去されることを、理論的に証明し、数値計算を用い実証した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
埋め込み境界法を適用した格子ボルツマン法に生じる誤差の問題を完全に解決できた。埋め込み境界法による多粒子衝突の計算における粒子間相互力の定式化の問題が残されているが、格子ボルツマン法のGPGPUによる高速計算には成功している。
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今後の研究の推進方策 |
埋め込み境界法のGPGPUへの適用、粒子間相互力による数値的不安定性の問題の解決を行い、複数枚のグラフィックカードを用いたGPGPUを用い、懸濁液のチャネル内の沈降現象解析を行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
24年度に購入したGPGPU専用計算機を用い、微粒子がクラスター化し、懸濁液として界面を形成し、fingerが発達する際の粒子と流体の微視的な挙動を数値実験により明らかにする。その成果を、論文および学会にて発表し、その旅費等に使用する予定である。
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