研究課題/領域番号 |
23560198
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
坂口 大作 長崎大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70244035)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 流体計測 / レーザ計測 / 三次元流れ |
研究概要 |
本研究では,光源としてダイオード励起固体レーザを用い,ドップラーグローバル流速計の計測原理に基づいた次世代三次元PIVシステムの開発を目的とする.当該年度では,ヨウ素フィルターを試作し,レーザの波長を掃引する光学系を試作し,速度計測のための伝達関数を取得することを目標とした.ダイオード励起固体レーザから射出された波長532.32nm,光出力150mW,線幅<1.0MHz以下のレーザ光をフィルターへ導き,ヨウ素による光吸収された計測光および参照光の光出力をフォトダイオードにより計測し,光出力比を吸光度比として伝達関数を取得する光学系を構成した.ヨウ素フィルターは直径40mmの円筒ガラスにより製作し,円筒ガラス外周には電熱線ヒータを取り付け,温度コントロールすることにより封入したヨウ素の昇華量を変化させた.また,レーザの光周波数の掃引にはAOM(Acoustic Optical Modulator)を用い,印加電圧の変化させることにより,230MHz~430MHzの光周波数を変化させることができるようにした.ヨウ素フィルターの保持温度を100度として吸光度比を計測したところ,AOMで可変できる周波数範囲では直線的な光吸収特性を示し,速度範囲に換算すると0~40m/sの範囲で計測できる伝達関数を取得することができた.また,レーザの波長安定性は非常に高く,速度換算で±0.15m/sの精度で計測できる波長安定性を示した.本年度の研究成果により,ダイオード励起固体レーザを用いることでドップラーグローバル流速計を簡易な光学系で構成できること,さらに,従来のガスレーザでは困難であった計測精度の改善が可能であることが分かった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の計画通り,ヨウ素フィルターの吸収特性を計測する光学系を構成し,伝達関数を取得することができた.また,レーザの波長安定性およびヨウ素フィルターの温度安定性を評価し,本システムが高い流速計測精度を持っていることを確認できた.
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今後の研究の推進方策 |
ダイオード励起固体レーザおよびヨウ素フィルターを用いて,一次元速度計測システムを構築する.ヨウ素の吸収特性曲線の中間位置にレーザの発振波長を固定し,アバランシェフォトダイオード(APD)により飛行粒子の散乱光強度を計測する.なお,点計測で計測精度が確認した後,レーザ光をシート光とし,受光素子としてCMOSビデオカメラを用いることで一次元の面計測システムを構成する.なお,カメラからの輝度データはFPGAにより画像処理する専用回路をVHDLにより記述し,速度ベクトルの実時間処理システムを開発する.
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次年度の研究費の使用計画 |
レーザシート光を形成させるための光学部品,FPGAによる画像処理システムの開発環境が必要である.
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