研究課題/領域番号 |
23560199
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
川原 顕磨呂 熊本大学, 自然科学研究科, 准教授 (20224818)
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キーワード | マイクロチャンネル / 気液二相流 / 曲がり / 急縮小 / 圧力損失 / 気泡長さ |
研究概要 |
微小空間で化学反応を行うマイクロリアクタに代表されるような気液二相を利用したマイクロデバイスの設計・開発に資するために、マイクロ流路内に存在する特異点が気液二相流の流動特性に及ぼす影響を明らかにすることを目的として、本年度の研究では昨年度までの曲がり流路に関するのデータの追加と急縮小における流動特性を調査した。 具体的には矩形マイクロ流路内の急縮小部を通過する液単相および気液二相流の圧力降下および急縮小前後で気泡長さの変化を測定した。その際、収縮比の影響を見るために縮小部下流の流路の寸法(幅0.27 mm×高さ0.24mm)の一定とし、上流部の幅を0.53mmと0.78mmの二種類とした。流路の材質はPDMSで、流路壁は親水性を向上させるために酸化プラズマ処理を施した。液体の物性値(密度、粘度、表面張力)の影響を知るために作動液体に蒸留水、エタノール、HFE7200を、気体に窒素ガスを用いた。得られた成果は次のとおりである。 ・急縮小の上流部の気泡の長さは流れが擬似均質流であれば、Garsteckiらの式で概ね表わせる。一方、急縮小部下流の気泡の長さはGarsteckiらの式より大きくなる。 ・気泡長さ/(気泡長さ+液体の長さ)の比は急縮小部の上・下流および液体の違いに依らず気体体積流量率で評価できることを明らかにした。 ・液単相流および気液二相流の圧力降下の実験値から急縮小よる非可逆圧力損失を求めた。液単相流の収縮係数はレイノルズ数および収縮比に依存することを明らかにした。二相流の非可逆圧力損失は収縮係数に実験値を用いれば、Thome & Abdellalの式で整理できることを明らかにした。なお、マイクロ流路(0.5mm以下)における急縮小による圧力損失データは既存の研究では見当たらず、本研究で得られた研究成果は設計・計算検証のデータベースに資することができると考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度の研究では、マイクロ流路(0.5mm以下)内に存在する特異点として急縮小の影響を調べた。特に、マイクロリアクタやマイクロ熱交換器の設計で必要となる圧力損失、気泡・液体の長さについて以下の成果を得ている。 ・液単相流および気液二相流における急縮小近傍を圧力分布の測定し、急縮小による圧力損失のデータベースを構築した。 ・気液二相流における気泡の長さ・液体の長さを高速度ビデオカメラで計測し、それらの評価式を構築した。 上記および研究実績の概要に記述した成果は、当初の計画と通りである。したがって、本研究は概ね順調に進展していると評価する。
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今後の研究の推進方策 |
マイクロ流路内に存在する特異点として急拡大流路およびオリフィスにおける流動特性を調べる。そこで、拡大流路(拡大率を変える)およびオリフィス(開口比を変える)を用いて次の事項を調べる。 ・液単相流および気液二相流における急拡大部の上流・下流およびオリフィス前後の圧力分布の測定し、急拡大およびオリフィスによる圧力損失を評価する式を構築する。 ・気液二相流における気泡の長さ・液体の長さ・気泡速度および液膜厚さの高速度ビデオカメラとレーザーフォーカス計による同時計測を行い、急拡大(急縮小)を通過する際の気泡・液体の長さおよび液膜厚さを表わすことができる式を構築する。
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次年度の研究費の使用計画 |
急拡大流路およびオリフィス流路の製作費、各種消耗品(圧力計、作動液等)の購入費に使用する。また、研究成果の発表のための学会出席への旅費に使用する。
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