研究課題/領域番号 |
23560200
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
片野田 洋 鹿児島大学, 理工学研究科, 准教授 (40336946)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 移動平板 / 超音速噴流 / 衝突噴流 / 騒音 / 圧縮性流れ |
研究概要 |
本研究は,移動流の平板への噴流が衝突する際に発生する大規模振動(large-scale oscillation with beat;LOB)に関する研究である.超音速の衝突噴流に関しては,1960年代から現在に至るまで数多くの研究がなされてきている.しかし,それらは全て静止平板への衝突噴流である.また,超音速噴流を用いたコーティングだけでなく,超音速の酸素噴流による溶けた銑鉄の精錬,ロケットの発射など,作動中に衝突対象がノズルに対して相対的に移動するケースは多い.前述のLOBは世界的に報告例が無く,現在は工学的に問題になっていない.しかし,LOBの学術的な解明,および将来発生しうる工学的な問題の予防のために詳細な研究が必要である.本研究計画では,以下の3項目について研究を行う.1)LOBが発生しているときの衝突噴流の流動状態,圧力波の発生・伝播状態の詳細の調査 2)LOBの発生機構のモデル化 3)ノズルの設計マッハ数,貯気圧力,平板のトラバース速度がLOBに与える影響の調査 本研究では,LOB 発生時の流動状態と圧力波の発生・伝播状態,LOBの発生機構,および諸パラメータがLOBの特性に与える影響を明らかにすることを目的としている. 研究の初年度である平成23年度は,LOBが発生しているときの衝突噴流の流動状態,圧力波の発生状態の調査を行った.その結果,平板のトラバース速度が10mm/s~50mm/sの範囲で衝突噴流から明瞭なうなり騒音が発生することを見出した.加えて,縦軸に衝突全圧,横軸にノズル出口からの流れ方向距離をとって平板上の圧力振幅を調べたところ,移動平板の圧力振幅は,静止平板の1.5~2倍程度あり,衝突噴流は大規模に振動していることを見出した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は,LOBが発生しているときの衝突噴流の流動状態,圧力波の発生・伝播状態の調査を行うことを計画として掲げており,圧力測定の結果から,その概要を把握することができた.よって,現在までのところ概ね順調に進展していると評価した.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,まずLOBの発生機構のモデル化と数値シミュレーションを行う.これは,Tamの理論を,移動平板に拡張し,理論的な解析を行うと同時に数値シミュレーションを行う.次に,ノズルの設計マッハ数,貯気圧力,平板のトラバース速度がLOBに与える影響の調査を行う.これは,設計マッハ数1.5と2.0の超音速ノズルを製作し,貯気圧力0.2~2.0MPaとし, LOBの振動形態,振動周波数および圧力振幅に与える影響を調査する.
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度は,ノズル材料費などの物品購入費に40万円,研究調査を行うための旅費に25万円,残りを機器レンタル費用等に使用する計画である.
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