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2012 年度 実施状況報告書

衝撃波と膨張波を伴う超音速噴流へのレインボーシュリーレン偏向法の適用に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 23560204
研究機関北九州市立大学

研究代表者

宮里 義昭  北九州市立大学, 国際環境工学部, 教授 (30253537)

キーワードシュリーレン法 / 不足膨張音速噴流 / 衝撃波 / 計測法 / 光学測定
研究概要

平成24年度は,直径8mm,長さ85mmの円筒ノズルからの音速噴流をレインボーシュリーレン偏向法によって実験的に調べた.また,実験と同じ条件の基でTVD法による数値計算を行い,実験結果と比較検討を行った.実験と数値計算から得られた結果を要約すると,以下のとおりである.
(1)レインボーシュリーレン法によって,不足膨張噴流のバレル衝撃波とその反射衝撃波,マッハディスク,ノズル出口からマッハディスク直前までの膨張領域,及び噴流境界等を連続的な色相の変化によって観測することができる.(2)フィルターの色相の変化方向を噴流の軸方向に対して垂直にした場合,マッハディスクを構成する反射衝撃波の強さが三重点から足下に向かって徐々に変化する特徴を色相の連続的な変化によって観測することができる.(3)フィルターの色相の変化方向を噴流の軸方向にした場合,不足膨張音速噴流の中心軸上のマッハディスクとその下流の第2衝撃波から第4衝撃波までの各衝撃波の位置を流れ方向の色相の変化からピーク値の位置として算出できる.(4)レインボーシュリーレン写真内の噴流中心軸に対して垂直な任意の位置の色相値をアーベル逆変換することで,その断面における密度の定量値を得ることができる.(5)結論(3)で得られた噴流中心軸上の色相変化の各ピーク値は,結論(4)で得られたノズル上流のよどみ圧p0と背圧pb比p0/pb=5のときの噴流中心軸上の密度勾配が正の最大値の位置とほぼ一致する.(6)噴流内にマッハディスクが生じる場合,噴流中心軸上の密度分布において,マッハディスク直後から数ミリ下流にわたって密度のわずかな上昇が観察できる.これは,数値計算結果から得られた等密度線図でも確認でき,マッハディスクが上流に凸状に湾曲した形状となり,三重点からのすべり線が下流に向かうに従い,外側に拡がることに起因する.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

超音速流れに関連する現象を調べるための計測方法として,静圧プローブ,全圧プローブ,熱線流速計等の接触型の手法が用いられる場合があるが,このような探査プローブを超音速の流れ場へ挿入すると,一般にその前方に離脱衝撃波が生じ,元の流れ場を大きく乱す原因となる.また,レーザドップラー流速計やレーザー誘起蛍光法等の非接触型の計測法は,流れ場にシード粒子を混入する必要があり,衝撃波を含む流れ場の計測では,シード粒子が実際の流れ場に追随しない等の問題が報告されている.しかし,本計測で用いられるレインボーシュリーレン偏向法は,上記の欠点を補う新しい計測法であり,今後さらなる発展が望まれる.本研究では,超音速ノズルからの過膨張超音速噴流,適正膨張超音速噴流,不足膨張超音速噴流のレインボーシュリーレン計測,円筒ノズルからの不足膨張音速噴流のレインボーシュリーレン計測を行った.また,これらの実験による密度場をTVD法による数値計算結果と比較検討を行った結果,レインボーシュリーレン偏向法は衝撃波を伴う軸対称超音速噴流の光学的密度場計測に非常に有効であることを示した.

今後の研究の推進方策

次世代の超音速旅客機用のエンジンとして搭載が予定されているスクラムジェットエンジンの分離部にはほとんどの場合,衝撃波と境界層の干渉の結果としてのショックトレーン及び擬似衝撃波が存在する.特に,分離部内の擬似衝撃波領域の長さを知ることは,エンジンの不始動問題と関連して非常に重要であるにも関わらず,不明な点が多く残されている.したがって,平成25年度は,断面積一定の矩形ダクト内のショックトレーンと擬似衝撃波領域の構造をレインボーシュリーレン法を適用することによって定性的及び定量的に可視化計測することを目的とする.レインボーシュリーレン法を管内の衝撃波を伴う流れ場に適用した例はこれまで数例しかなく,定量化を行った研究は著者の知る限り全くない.したがって,本研究成果が得られることは,工学的にも学問的にも極めて価値が高い.

次年度の研究費の使用計画

平成25年度は,断面積が15mm×15mmで長さが100mmの断面積一定のダクト内に主流マッハ数が約1.5のショックトレーン及び擬似衝撃波を発生させ,これらの現象をレインボーシュリーレン偏向法によって光学的に可視化計測する.その際,ダクトの側壁に取り付ける光学ガラスの購入と測定部材料の費用が必要となる.また,得られた画像データから等密度線図を得る解析手法を確立するために,画像解析ソフトが必要となる.本実験によって,低マッハ数のショックトレーンの構造と長さ,擬似衝撃波の長さと擬似衝撃波による静圧上昇,全圧減少等の特性を得る.これまでの研究成果を国内と国外の学会で研究発表する際の旅費と登録料及び論文掲載料がぜひ必要となる.

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (6件)

  • [雑誌論文] 注意を要するジェット推進の理論2012

    • 著者名/発表者名
      宮里義昭,山本秀樹,佐々木卓実,瀬戸口俊明
    • 雑誌名

      機械の研究

      巻: 64 ページ: 294,299

    • 査読あり
  • [雑誌論文] レインボーシュリーレン法を用いた不足膨張音速噴流の可視化2012

    • 著者名/発表者名
      小西敬三,中島涼太,小野大輔,宮里義昭
    • 雑誌名

      可視化情報

      巻: 32 ページ: 31,32

    • 査読あり
  • [雑誌論文] マッハ・ツェンダー干渉法を用いた不足膨張音速噴流の密度場の可視化2012

    • 著者名/発表者名
      下宮圭太郎,小野大輔,宮里義昭
    • 雑誌名

      可視化情報

      巻: 32 ページ: 237,238

    • 査読あり
  • [学会発表] 低レイノルズ数領域におけるNACA翼の空力特性に関する実験的研究2013

    • 著者名/発表者名
      福原百合子,芹田千夏,小野大輔,宮里義昭
    • 学会等名
      日本機械学会九州支部九州学生会第44回卒業研究発表講演会
    • 発表場所
      阿蘇ファームランド
    • 年月日
      20130306-20130306
  • [学会発表] 断面積一定の円管における超音速流れの流路中心軸上の静圧測定2013

    • 著者名/発表者名
      渕田啓,森田剛弘,小野大輔,宮里義昭
    • 学会等名
      日本機械学会九州支部九州学生会第44回卒業研究発表講演会
    • 発表場所
      阿蘇ファームランド
    • 年月日
      20130306-20130306
  • [学会発表] レインボーシュリーレン法を用いた不足膨張音速噴流の定量的可視化2013

    • 著者名/発表者名
      中島涼太,小西敬三,宮里義昭,小野大輔
    • 学会等名
      日本機械学会九州支部九州学生会第44回卒業研究発表講演会
    • 発表場所
      阿蘇ファームランド
    • 年月日
      20130306-20130306
  • [学会発表] マッハ・ツェンダー干渉計を用いた不足膨張音速噴流の密度場計測2013

    • 著者名/発表者名
      大山祐哉,大池亜土夢,小野大輔,宮里義昭
    • 学会等名
      日本機械学会九州支部九州学生会第44回卒業研究発表講演会
    • 発表場所
      阿蘇ファームランド
    • 年月日
      20130306-20130306
  • [学会発表] Mach-Zehnder Interferogram Analysis of Axisymmetric Underexpanded Sonic Jet Using Fourier-Hankel Methods2013

    • 著者名/発表者名
      Shimomiya,K., Ono,D., and Miyazato,Y.,
    • 学会等名
      51th AIAA Aerospace Sciences Meeting including the New Horizons Forum and Aerospace Exposition
    • 発表場所
      Grapevine, Texas, USA.
    • 年月日
      20130107-20130110
  • [学会発表] Theoretical and Experimental Investigations on Choking Phenomena of Axisymmetric Convergent Nozzle Flow2012

    • 著者名/発表者名
      Isozumi,R., Kubo,K., Ono,D., and Miyazato,Y.,
    • 学会等名
      28th Internatinal Congress of the Aeronautical Sciences
    • 発表場所
      Brisbane, Australia
    • 年月日
      20120923-20120928

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公開日: 2014-07-24  

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