研究課題
超音速噴流の特性を調べることは,従来よりスートブロワ,ガスワイピング,転炉等の工業や最近では出荷前の白ネギの皮むき作業において非常に重要である.一般に,超音速噴流の特性を理解するには,流れ場のベクトル量(例えば,速度)やスカラー量(例えば,密度,温度,圧力)の情報が必要とされる.このような情報は,衝撃波とせん断層の干渉を考慮して数値計算によって得られることもあるが,数値計算の妥当性は信頼のおける実験値との比較によってなされる.本研究では,光学的測定法であるレインボーシュリーレン偏向法を衝撃波と膨張波を含む複雑な超音速噴流に適用し,噴流内の任意の位置の密度を定量的に測定する方法を確立したものである.本研究によって得られた結論は以下のとおりである.(1)レインボーシュリーレン偏向法によって円筒ノズルからの不足膨張音速噴流のバレル衝撃波とその反射衝撃波,マッハディスク,ノズル出口からマッハディスク直前までの膨張領域,及び噴流境界等を連続的な色相の変化によって観察できる.また,噴流内の任意の位置の密度を高分解能及び高精度で得ることが可能である.さらに,円筒ノズルを通る圧縮流れの解析モデルを提案し,本モデルの解析値が実験値と定量的に良く一致することを示した.(2)農業分野で実際に使用されている白ネギの皮むき用ノズルからの噴流にレインボーシュリーレン偏向法を適用し,ノズル上流と背圧の比(ノズル圧力比)が噴流内の密度場に及ぼす影響を定量的に調べた.また,新型の白ネギの皮むき用ノズルを開発し,両者をレインボーシュリーレン偏向法によって調べた.その結果,現行ノズルと比較して新型ノズルからの噴流は,実際の白ネギの皮むき作業に有効であることを明らかにした.
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