研究課題/領域番号 |
23560207
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研究機関 | 千葉工業大学 |
研究代表者 |
江尻 英治 千葉工業大学, 工学部, 教授 (40333017)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 層流燃料電池 |
研究概要 |
層流燃料電池(LFFC)の基本コンセプトは,電解質膜を廃止して,層流のマイクロ流体の輸送現象を利用した単一チャネル中での燃料と酸化剤の区分化を行うことである.燃料と酸化剤を独立して選定できるという利点があるが,気体を使用できないため,大気中の酸素を直接酸化剤として用いることができない.そのため,酸化剤には液体中の溶存酸素を用いる.本研究では燃料に3%wtメタノール,酸化剤に過酸化水素を用いた.流路LFFC流路内を可視化するため,アクリル樹脂を用いた.集電板には電気伝導率が高く耐腐食性のあるステンレスを使用した. 以上の装置を用いて実験を実施した。拡散混合の起こった流れと区分化された流れを色素を流すことで可視化することに成功した.さらに,流れが区分化される流量と過酸化水素水濃度の条件が明確となった。つまり、低流量では拡散層が厚くなり,液体の混合が起こるが,流量を増すことで拡散層が薄くなり,液体同士がはっきりと境界を作り,流れの区分化が起こる.濃度に関しては流量と逆で,濃度を高くするほど液体同士の拡散混合が起こりやすくなる. 平均約40mVの開回路電圧(OCV)が測定された.短時間ではあるが,流れが区分化されている場合には0.4V弱のOCVを観測した.しかし,同条件で実験を行っても,毎回OCVが異なり,電極の正負が逆転することもあった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
既存の電子負荷装置を用いて,製作したLFFCのI-V試験を行ったが、装置の最小分解能である40μAの負荷電流をかけた瞬間に電圧が0Vとなり,実質上I-V試験を行うことはできなかった. この原因は,LFFCの核となる流れの区分化や発電過程で生成する気泡の排出がうまく行えていないこと,触媒の接着不良などが関係していると考えられる. また,LFFC自体の性能が全体的に低いことが文献からわかっており,一般の電子負荷装置では性能調査が難しいことも原因の一つである. したがって、反応性混相流の計測として計画していた、二酸化炭素気泡流のボイド率計測やメタノール濃度分布計測が実施されなかった。
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今後の研究の推進方策 |
燃料電池の性能向上のために装置改良が必要である。二酸化炭素気泡流のボイド率計測やメタノール濃度分布計測のための技術的検討や計測システムの準備が必要である。
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次年度の研究費の使用計画 |
燃料電池の性能向上のために製作する装置の部品や材料の購入が必要である。また、微小電流の下で燃料電池のI-V特性を計測するための電子負荷装置が必要である。二酸化炭素気泡流のボイド率計測やメタノール濃度分布計測のための装置購入が必要である。
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