2013年度は,発電機特性(発電機の機械摩擦,発電抵抗)の影響を調べる為に,発電機特性の異なる3種の発電機を用いた実験を行なった.実験パラメータはシートの材質・長さ・厚さとし,そのフラッタ特性(フラッタ限界,フラッタ周波数,フラッタモード),および,発電特性(発電起電圧,発電起電流,発電起電力)を調査した.また,ポテンシャル流れを仮定した解析と比較検討した.その結果,フラッタ特性に関して,解析は実験結果を定性的に予測可能である事が判明した.また,発電特性に関しても,解析結果は実験結果を定性的に説明可能である事が示された. 3年間の研究により,柔軟シートフラッタ発電に関して以下の事が判明した.第一にシート特性に関し,シート剛性は大きくなるとフラッタ限界流速が大きくなる事によって発電に不利となり,逆に小さくなり過ぎるとフラッタモードが高次モードに移行したり,捩れなどの3次元性が現れたりして発電に不利となる.この結果,ある風速の時間履歴に応じて,発電電力量を最大化するシート剛性が存在する.第二に,発電機特性につい,発電機の発電負荷を大きくすると,モーメントが大きくなって発電電力が大きくなる効果と,回転振動振幅が小さくなって発電電力が小さくなる効果があり,その結果として,発電機負荷にも発電量を最大にする最適負荷が存在する.第三に,シート剛性の最適値は発電機負荷に依存する為,発電機負荷を最適にして,それに対応してシート剛性を最適にしても全体の最適化にはならないので,発電電力量を最大化する為には発電機負荷とシート剛性のマッチングが必要である.第四に,本研究で開発した解析法は安定限界,発電電力を定性的に説明可能であるので,マッチングをする際に,発電機負荷とシート剛性の最適値のおおよその値を予測可能である.従って,柔軟シートフラッタ発電を設計する際の設計指針を得る事が可能である.
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