研究課題/領域番号 |
23560209
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
小林 宏充 慶應義塾大学, 法学部, 教授 (60317336)
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キーワード | 数値流体力学 / 乱流 / 電磁流体 / LES / 渦電流 / 壁面ジェット流 |
研究概要 |
液体金属矩形ダクト流れに対して壁に垂直に磁場を印可するとファラデー起電力が流れ方向と磁場印可方向に垂直な壁方向に得ることができる。その壁に1対の電極を設けて負荷抵抗を繋ぎ、外に電力として取り出す液体金属MHD発電機において、負荷抵抗値(負荷率)依存性を調べた。 磁石は発電領域である電極間に設置しているので、電極間の上流下流においては磁束密度は減少する非一様な磁場分布になっている。磁束密度を増加させると磁束密度の流れ方向への勾配に起因して渦電流が増加し、ローレンツ力によって、流れを減速させる方向に加えて壁面方向への力も発生する。その結果、平均流速分布はM字形の側壁ジェット流れとなる。 負荷率はオープン電界に対する得られた電界で定義され、負荷抵抗値を増加させると1に近づき、減少させると0に近づく無次元量である。負荷率を増加させた場合、磁束密度を増加させた場合と同様に、電流は外へ取り出すことが困難になり、流路内で渦電流の増加として寄与する。その結果、M字形分布が強調されることがわかった。なお、ローレンツ力に対する磁束密度(ハルトマン数)と負荷率の寄与は、前者が2乗であるのに対して、後者は1乗となるので、その寄与は磁束密度の変化の方がより影響を与えることが分かった。このことは、流れの中の乱流構造抑制現象の結果からも示唆された。 また、高負荷率では電流が外へ取り出すことができずに損失となることから、最適な負荷率が存在し、本研究では約0.64の時に、最大電気変換効率が得られた。負荷をオープンにした場合と高負荷率での流れ場の結果を比較し、それらに大きな違いが無いことが分かった。よって、理学系でまず検討されるであろう、外へ電流を取り出さないオープン電圧条件における流れ場も、本研究における高負荷率での結果から、その流れ場が理解できると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、流れ場や発電効率への負荷抵抗値依存性を調べることを目標としたが、その目標は達成された。電極の有無による流れ場への影響も検討できた。また、これまでの成果をまとめて、流体力学分野で一番権威のある雑誌 Journal of Fluid Mechanics へ受理され、論文が出版された。
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今後の研究の推進方策 |
直接数値計算の実行や高レイノルズ数でのLESの実行を行い、再層流化や乱流遷移についての知見を深める。また、壁面摩擦速度が磁束密度の増加に伴い極大極小をとる過去の実験結果へのM字形分布の影響を検討する。さらに、誘導磁場の影響が強い状況下での計算を検討し、乱流モデルへの検討を考える。
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度得られた結果は、計算理工学で有名なInternational Conference on Computational & Experimental Engineering and Sciences (ICCES2013)および連成問題で有名なCoupled Problems in Science and Engineering (Coupled 2013)といった国際会議で成果発表を行い、著名な研究者と情報交換・議論を行い、さらに今後の研究推進に役立てる。また国内学会での発表や情報交換・議論も行う予定である。
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