固体酸化物形燃料電池(Solid Oxide Fuel Cell,SOFC)とマイクロガスタービン(μGT)を複合化したハイブリッドシステムは,次世代発電システムの有力な候補である.しかし,このようなシステムで高い総合効率を達成するためには,電力変換の過半を担うSOFCの性能向上が不可欠であることから,本研究では流動様式の自由度が高いディスク型SOFC流路に着目し,流路形状の検討を進めてきた.その結果,インボリュート曲線に沿う旋回流れの導入によって,流れ方向の速度分布が一様な状態に改善されることを実証したが,局所的には流れの偏向や集電体近くの減速領域なども観察された. そこで,平成25年度の研究においては,インボリュート曲線形状の集電体を従来より短い間隔(流路ピッチを流路幅の2倍に設定)で燃料流路内に配置し,流路内に生じた旋回流れの速度分布を計測することで,速度場の一様性向上に関する検討を行った.その結果,集電体の個数を増やして集電体間隔を狭くすると,流路幅方向の速度分布の偏りが改善され,流路下流側では流体の減速も解消された.すなわち,インボリュート形状の集電体を配置したディスク型流路では,集電体間隔を短くすることが速度分布の一様化に効果的であると考えられる. また,SOFCの運転時に発現する温度分布の特性,あるいは温度場が速度分布へ及ぼす影響等については未検討であったことから,電極面に相当する円板表面を加熱し,平行円板流路内に生じる温度場の特性を実験的に調べた.等熱流束条件下で流路内の温度分布を計測したところ,インボリュート形状の流路内ではほぼ一定のヌセルト数が実現され,従来の放射状流れと比較して熱伝達性能は向上することが明らかとなった.
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