研究課題/領域番号 |
23560216
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
新井 雅隆 群馬大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (80112176)
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研究分担者 |
古畑 朋彦 群馬大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80261585)
座間 淑夫 群馬大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (30594113)
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キーワード | 輸送機器 / 熱工学 / 大気汚染防止・浄化 / エネルギー効率化 / 可視化 / EGRクーラ / 堆積物 / 炭素状微粒子 |
研究概要 |
本研究の目的であるEGRクーラの伝熱面に付着する堆積物の挙動を解明するために,EGRクーラを想定した32mm×32mmの矩形断面をもつ長さ250mmの流路を作成した.この流路の側壁には水冷のチャンネルが設けられており,壁面の温度を30℃~90℃の範囲で変えることができる.ここでは,この流路に空気過剰率λ=1.8で運転を行っているディーゼル機関の排ガスを数時間流通させ,層状に堆積する堆積物(炭素状微粒子)の厚さをレーザ変位計を用いて計測した.また実験条件としては排ガスの入り口温度を250℃で排ガス入り口流速2.4m/sとし,冷却面温度は水冷により40℃または80℃とした.得られた主要な結果は以下の通りである. (1)排ガスの温度の高い上流側の方が堆積が起きやすく,壁面温度が80℃の場合に7時間の運転において,上流側で600ミクロン,下流側で400ミクロンの堆積が観察された. (2)壁面温度が40℃の場合に比べて80℃の場合の方が堆積層の成長が基本的に早くなった.これは排ガス中の炭素状微粒子が100ナノメートル以下の粒子であるため,その熱泳動が高温壁面付近の方が活発に起きているためと思われた.(一般的な予想とは逆であった.) (3)壁面温度が40℃の場合に,4時間以上の運転の場合に堆積層の離脱が観察された.この離脱のメカニズムとして,壁面温度が低い場合には堆積した炭素状微粒子の層内の温度は壁面と同様に低くなり,排ガス中の水蒸気の凝縮が発生すること.水蒸気の凝縮によって生じた水膜により堆積層と壁面の間に隙間が生じ,排ガスの若干の温度変動により,堆積層が水膜および蒸気により流側に押し上げられ,最終的に離脱が発生することが明らかになった.なお上記の離脱メカニズムにより壁面が40℃の場合には堆積層が厚くならないことをあきらかにすることができた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初期の目的である堆積物の離脱の現象を確認し,そのメカニズムを推定することができた.しかし現象の再現性やメカニズムについての確認が時間がたらず行うことができなかったので,これをH25年度の中心課題とすることにした. 並行して行っている実用EGRクーラの試験ではJE05モード試験を冷間始動で開始するか,暖機後のスタートにするのかによりEGRクーラへの堆積する堆積層の成長挙動が異なることを明らかにすることができたが,その現象とH24年度の主要実験である基礎実験との関連をつけることが不可能であった.この原因は基礎実験のデータ不足のためであり,H25年度はデータの蓄積を行った上で,両者の関連をつけることとした.
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今後の研究の推進方策 |
(1)矩形の基礎実験用のEGRクーラを用いて,データの蓄積を行う. (2)堆積層の離脱のメカニズムの詳細把握と離脱のモデルを確立する. (3)実用EGRクーラでの堆積層の成長と基礎実験の相関を明らかにする.
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次年度の研究費の使用計画 |
研究費の大半を熱電対,燃料,排ガス計測のための標準ガス等の消耗品代として使用する.
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