近年,燃焼によるエネルギー変換時のエクセルギー損失を抑制する術が注目されている.燃焼は本質的に不可逆であり,そのプロセスにおける一定のエクセルギー損失は不可避である.しかし,常温の反応物をそのまま燃焼させるのではなく,燃焼の前にその温度を上昇させることで,燃焼プロセスにおけるエクセルギー損失を大幅に低減することが可能である.このような燃焼の例として,超過エンタルピー燃焼や高温空気燃焼が挙げられる.未燃ガス温度を高くして混合気を燃焼させる手法は,エクセルギー損失の低減に直結する.そして,燃焼ガスと未燃ガスの温度差を小さくすることにより,燃焼プロセスにおけるエクセルギーを概ね保持することが可能となる.つまり,有効エネルギーを高効率で取り出すことができる.従って,この手法の開発は省エネルギーに直接的に貢献することになる. 従来とは異なる新規の燃焼手法を開発する上で,最も配慮すべき点は安全の確保である.これまでに,安全を確保するための技術が数多く開発されている.しかし,従来の技術の多くは危険検出型であるので,安全は必ずしも確保されていないのが現状である.充分安全なシステムを構築するためには,安全確認型の考えを取り入れる必要がある.これは,安全情報によるインターロックシステムであり,安全であることを確認して安全情報を受け取るときのみ,実際の行動命令を発して作業を続行するものである.安全確認型のシステムを取り入れることは,安全確保の観点から必須の条件となっている. ここでは,火炎の不安定な挙動をレーザー計測システムで同定した.また,予混合火炎からの発光をフォトダイオードで受光し,発光信号の特徴を求め,火炎の動的特性を解析した.そして,未燃ガスの混合成分との関連性を調べた.加えて,数値計算により,未燃ガス温度が通常より高い場合における予混合火炎の不安定挙動を精査した.
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