可視化計測実験: 平成24年度に液噴霧(スプレー)時の固液接触状況可視化と計測を継続した。理由は、固液接触領域計算プログラム検証のためにはラミナー流だけでなくスプレー(多数の液滴衝突)流の詳細な可視化データが必要だからである。過熱面(単結晶サファイア板)と試験液(HFE-7100)は前年度までと同じで、ノズルの適正圧力で噴 霧した。 同時に、過熱面(単結晶サファイア板)に穴空け加工を施し、表面温度評価のため極細シース熱電対を表面近くに設置した。 これは、可視化画像により局所的な濡れ面が発生する時刻が判明するが、その際の過熱面中央表面温度を計測することで、濡れ開始条件を検討するためである。 その結果、サファイア板の場合は、初期温度によらず、ある一定表面温度にて濡れが開始しており、高温面での濡れ開始が何らかの温度により定まっている可能性を見出した。 一方、サファイアに比べて低熱伝導性の石英ガラスによる同実験も行ったが、こちらの場合は、濡れ開始は表面温度だけでは決まっておらず、今後のさらなる検討が必要である。 固液接触領域計算: 平成23~24年度に、液滴衝突系の数値計算プログラムに固液接触有無の判定手法と過渡沸騰モデル(マクロ液膜消耗モデル、一次気泡充満モデル、自発核生成気泡充満モデル)を含んだ温度場計算プログラムを構築済みである。 これを用いて、可視化計測実験の境界条件を代入し計算しようとしたが、試験液(HFE-7100)の膜沸騰状態の熱伝達計算の誤差が大きく、可視化実験との比較はできなかった。 次年度以降の改良が必要である。
|