研究課題/領域番号 |
23560223
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
山本 和弘 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60283488)
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キーワード | 国際情報交流 / 乱流火炎 / レーザ計測 / 消炎 / 火炎構造 / PLIF / 火炎面積 |
研究概要 |
乱流燃焼は火炎と流れが複雑に干渉する現象であり,実用燃焼器を数値シミュレーションにより解析することは容易ではない.そこで,薄い火炎帯を想定し,火炎が燃焼速度で伝播すると考えることにより,乱流燃焼場をモデル化する試みが行われている.化学反応に必要な時間スケールと乱流の時間スケールの比であるカルロビッツ数(Ka) の値が1まではいわゆるしわ状層流火炎(wrinkled flamelets) の領域である.Kaの値が1を超えた場合でも反応帯の厚さは薄いままであるとするthin reaction zonesの概念が妥当であれば,実用燃焼器で起こりうる燃焼場も上記の方法で簡略化できる可能性がある.この場合,単位体積中に存在する火炎面の面積である火炎面密度と燃焼速度を用いることにより乱流予混合燃焼場の発熱速度や反応速度を決定することができる.火炎面密度に関する研究は,理論的なものだけでなく,シミュレーションや実験により数多く行われている.ただし,乱流火炎は3次元の構造をとるため,火炎面の面積を実験により計測することは容易ではない. そこで,火炎面密度を2次元断面上で評価することが提案されている.レーザ計測により火炎の瞬時の2次元断面像を得ることができるため,2次元断面において火炎面密度を計測することは比較的容易である.ただし,実際の火炎面密度は単位体積における火炎面の面積であるため,2次元で評価した火炎面密度が実際には正しくない可能性も考えられる. 昨年度は,OH-PLIF法により乱流予混合火炎の瞬時の火炎構造を可視化することで,消炎特性や局所の燃焼速度を検討した.また,2枚のレーザシートをクロスするように燃焼場に照射することで垂直方向と水平方向の画像を取得し,3次元の火炎構造を議論した.そこで24年度においては,3次元の火炎面の面積を求めて火炎面密度を評価した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究内容をまとめて2件の学会発表を行った.2年目の研究成果としては十分であると考えている.
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今後の研究の推進方策 |
乱流火炎の特性を明らかにするには,火炎と流れの同時計測が必須である.燃焼場では発熱反応による熱膨張が起こり,火炎面前後で流れが加速される.乱流火炎では火炎が変動していることから,火炎が存在する領域で流速を測定すると乱れが増幅されて観測される (Flame-Generated Turbulence).過去に行われた研究では,PIVとLIFによる計測が試みられている.しかし,従来の研究は比較的乱れの弱い流れ場に形成された火炎を対象としており,非常に強い乱流場における燃焼場の検討が不十分である.特に,火炎構造位相図上でしわ状層流火炎よりも乱れが強い領域において,流れ場と火炎構造を調べる必要がある.そこで25年度は,旋回噴流燃焼器を用いてPIV/OH-PLIF同時計測を行い,乱流予混合火炎の流れ場と火炎構造を調べることにした.特に,局所消炎が見られる燃焼場を可視化することで,消炎が発生する状況を詳細に検討する.
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次年度の研究費の使用計画 |
25年度は最終年度であるため,積極的に研究成果を学会発表や学術論文などにまとめて公開していく予定である.
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