研究課題/領域番号 |
23560224
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研究機関 | 名古屋工業大学 |
研究代表者 |
飯田 雄章 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70273307)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 乱流 / 遷移 / 数値シミュレーション / 個人研究 |
研究概要 |
本研究の目的は,1)境界層において遷移過程を模擬できるスペクトル法による直接数値シミュレーションのコードを開発する。2)低レイノルズ数の回転チャネル乱流で見られる乱流構造の詳細を研究するとともに境界層の遷移過程にどのような貢献をしているのか明らかにしたい。本年度は,1)に関連して,スペクトル法による遷移のシミュレーションコードを開発した。さらにコードを,様々な初期条件,体積力を加えるなどしてチェックを行った。その結果,不安定,安定なコリオリ力のもとで,遷移過程のシュミレーションを行える可能性が分かった。また2)について,回転チャネル乱流での乱流構造に対するレイノルズ数効果,回転数の効果の詳細を調べた。回転数の増大は,平均せん断の平均渦度を減少させる方向に寄与する。この結果,低レイノルズ数下でのレイノルズ数を増大(減少)させる効果は,平均せん断における平均渦度の効果の増大(減少)と関連していることを明らかにした。すなわちレイノルズ数を減少させて見られる現象が,回転数を増大させた場合ににも生じることが分かった。具体的には,レイノルズ数(回転数)の変化は渦の形に影響し,それが壁面近傍で壁に向かう高速の流体運動(摩擦を増大させる)に大きく影響する。流れは,レイノルズ数が増大すると層流から乱流に遷移する。従って遷移過程において,平均速度勾配の平均渦度成分が重要な役割を担っていることを示している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
低レイノルズ数下でのレイノルズ数の増大の本質が,平均渦度の影響の増大にあること,具体的には,縦渦の流れに垂直な断面での形や傾斜がスイープやイジェクションの分布に強く影響することを示した。
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今後の研究の推進方策 |
不安定なコリオリ力のもとでの境界層の遷移過程で,低レイノルズ数のチャネル乱流で見られたレイノルズ数の変化の影響が同様に生じているか明らかにしたい。これにより,不安定の条件のもとでは,遷移の本質が平均渦度の影響の増大にあることを明らかにできることを予想している。また,解像度を増大させた計算のチェックが必要である。H23年度の未使用はコンピュータコードの開発,チェックが既存のコンピュータにより行えたため。
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次年度の研究費の使用計画 |
主に,国際会議での発表と,数値シミュレーションのためのワークステーションの購入に繰越し金と併せて使用する。高解像度の計算によるチェックを行う。
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