研究課題/領域番号 |
23560226
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研究機関 | 名古屋工業大学 |
研究代表者 |
石野 洋二郎 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30242902)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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キーワード | 多次元計測 / 時系列計測 / CT(コンピュータートモグラフィー) / 燃焼 / 乱流火炎 |
研究概要 |
申請研究課題の目的は,乱流燃焼現象の未だに未知な動的三次元現象の解明を確実に前進させるために,最先端の「高速ノンスキャニング四次元CT(コンピュータ断層再構成)計測システム」を構築することにある.このシステムは,高速バーナー火炎ならびに可視化エンジン燃焼計測への適用も可能であり,地球環境保全に資する.計画にあるように,平成23年度は,主として「四次元CT計測システム」の製作・調整・試験計測を行った.この「四次元CT計測システム」は,パイプバーナー,バーナー下方に上向きに設置される高速度ビデオカメラ,多数の平面ミラーが立体的に配置されるマルチミラー撮影システム,および三次元CT解析用PCから成る.このシステムでは,1台の高速度ビデオカメラの画像上に,パイプバーナー上の乱流火炎の像が,全ての平面ミラーに反射されて多方向同時撮影される.平成23年度に製作したシステムでは26枚の平面ミラーが配置され,26方向からの同時撮影が可能である.画像獲得には512×512ピクセルの画素数の高速度ビデオカメラを使用した.調整・試運転の際の計測対象火炎には,1種類の乱流予混合バーナー火炎を用い,2種類の観察方法を用い,計測精度確認した.一つ目の観察方法は,火炎からの放射可視光を時系列三次元CT計測するものであり,毎秒1000コマの三次元データが得られた.二つ目の観察方法として,予混合気にオイルミストを混入し,連続発振する緑色レーザー光照射による散乱光を時系列三次元CT計測を行い,乱流火炎の未燃ガスの三次元形状の把握を行い,新システムの試験計測が実施された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究実施計画どおり,パイプバーナー,バーナー下方に上向きに設置される高速度ビデオカメラ,多数の平面ミラーが立体的に配置されるマルチミラー撮影システム,および三次元CT解析用PCから成る「四次元CT計測システム」を作製し,調整・試運転を実施することができた.平成23年度に製作したシステムでは26枚の平面ミラーが配置され,26方向からの同時撮影が可能である.画像獲得には512×512ピクセルの画素数の高速度ビデオカメラを使用した.実施計画に記載された,乱流予混合バーナー火炎の放射可視光の輝度分布の時系列三次元CT計測と,それを用いたシステム精度の確認が実施された.さらに次年度分の実施計画に記載のオイルミスト混入予混合ガスのレーザー照明による時系列三次元計測も実施されたため,良好な達成度と判断した.また,平成23年度に構築した計測システムのさらなる高性能化および発展のための目標として,2つの新たな多方向同時撮影光学システムについて方向性を見出すことができたのも今後の研究を加速させる成果である.具体的には,平成23年に構築のシステムにおいて,産業用の実用高速バーナーや希薄予混合火炎バーナーを研究対象とする場合に,より高精細な三次元CT画像の獲得が重要であることが示唆されたが,多数のデジタルカメラからなる高精細画像獲得システムの構築や,フラッシュ光源と透過型CTシステムを採用したマルチミラーシステムによる高速乱流火炎の三次元形状獲得のためのシステム構築により,本課題「非定常火炎の四次元CT計測法の確立」を目指すことも,有用であると判断される.
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今後の研究の推進方策 |
申請研究課題の目的は,乱流燃焼現象の未だに未知な動的三次元現象の解明を確実に前進させるために,最先端の「高速ノンスキャニング四次元CT(コンピュータ断層再構成)計測システム」を構築することにあるので,平成24年度は,平成23年度に製作した多平面ミラー光学システムにより乱流火炎の時系列三次元輝度分布のCT計測を実施する.また,平成23年度に開始した,同システムによるオイルミスト混入予混合気を用いた予混合火炎の未燃領域の時系列三次元CT計測も実施する. さらに,平成23年度の試運転の結果を受けて,より高精細な時系列三次元CT再構成を行うために,2つの新たな多方向同時撮影光学システムについて検討を始める.それらは,多数のデジタルカメラからなる高精細画像獲得システム,ならびに,フラッシュ光源と透過型CTシステムを採用したマルチミラーシステムによる高速乱流火炎の三次元形状獲得のためのシステムであるが,有用性の検討の結果,期待する結果が得られる可能性の高いシステムがあれば,その計測システムの製作・試運転を平成24年度に実施する.
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度の直接経費予算額は1,038,457円である(間接経費は300,000円).以下に,平成24年度の直接経費の使用計画を列記する. 物品費を438,457円とし,計測システム自作・改良のための材料費,および観察対象の火炎の燃料費に充てる. 旅費を400,000円とし,調査研究旅費に充てる. 人件費・謝金には50,000円を充て,150,000円をその他(学会参加費,論文投稿日)に充てる.
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