研究課題/領域番号 |
23560226
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研究機関 | 名古屋工業大学 |
研究代表者 |
石野 洋二郎 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30242902)
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キーワード | 乱流火炎 / CT計測 / シュリーレン法 / 三次元計測 |
研究概要 |
申請研究課題の目的は,乱流燃焼現象の未だに未知な動的三次元現象の解明を確実に前進させるために,最先端の「高速ノンスキャニング四次元CT(コンピュータ断層再構成)計測システム」を構築することにある.このシステムは,高速バーナー火炎ならびに可視化エンジン燃焼計測への適用も可能であり,地球環境保全に資する.ここで,「四次元」とは,「三次元構造」および「時系列変化」を意味し,「四次元計測システム」の構築のためには,時系列変化の基礎となる「瞬間三次元分布」を鮮明に捕らえることが最重要である.ところが,高噴出速度の実用乱流火炎の形状変化の速度は極めて速く,火炎発光を捕らえるCT手法では,火炎発光の光量が不足し,実用乱流火炎の瞬間三次元分布の獲得が困難であることがわかってきた.そこで平成24年度は,昨年度に推進方針に記載のように,フラッシュ光源と透過型CTシステムを採用したマルチ光学系システムによる高速乱流火炎の三次元形状獲得のためのシステムの構築を目指した. 具体的には,はじめに,20台の定量的シュリーレン撮影光学系からなる,「マルチ定量シュリーレン同時撮影装置」の概略設計を行った.つぎに,同装置の性能を確認するため,単一方向・定量シュリーレン装置を製作し,軸対称・定常層流予混合火炎の定量シュリーレン撮影を実施し,当該画像から,CT再構成処理に必要である「密度厚さ分布画像」への変換を実際に行い,変換方法の検討を行った.つぎに,「密度厚さ分布画像」に対して,アーベル変換(40方向のCT再構成で実施)を行い,当該火炎の三次元密度分布の再構成に成功した(学会発表済み).また,非軸対称・定常火炎についても多方向定量シュリーレン撮影を実施し,当該火炎の三次元密度分布の再構成に成功した(学会発表済み).この結果の成果発表(平成25年度,国際会議2件,国内会議2件)も決定済みである.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本年度(平成24年度)の目標は,昨年度の平成24年度推進方針に記載したように,フラッシュ光源と透過型CTシステムを採用したマルチ光学系システムによる高速乱流火炎の三次元形状獲得のためのシステムの構築のための準備であった. 具体的な実施項目として,①20台の定量的シュリーレン撮影光学系からなる,「20方向・定量シュリーレン同時撮影装置」の概略設計,②評価用小規模システム(単一方向の定量シュリーレン装置)の製作,③この装置による当該装置(①)の性能把握・性能改善の検討,④定量シュリーレン輝度画像からの三次元CT再構成処理方法の完成,などが挙げられた.これらの項目は,いずれも平成24年度に,達成された.さらに,上記の②~④については,すでに平成25年3月に学会発表がなされている.また,平成25年度においても国際会議2件,国内会議2件での発表が決定している.以上のように,「達成度」は極めて良好であるといえる.
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は,主として,20台の定量的シュリーレン撮影光学系からなる,「20方向・定量シュリーレン同時撮影装置」の製作,ならびに,当該機による,高速噴出速度(10m/s程度)の乱流予混合火炎の瞬間三次元密度分布のCT計測を実施する予定である.得られたCT再構成結果の空間分解能などから,20方向に設定された方向数が適正であるか否かを確認する.高速実用乱流火炎の四次元CT計測法の確立のために必要な,高速現象に適した手法による瞬間三次元分布の獲得の完成を目差す.また,得られた結果の公表を,適宜,行う.
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度の直接経費予算額は800,000円である(間接経費は240,000円).以下に,平成25年度の直接経費の使用計画を列記する. 物品費を100,000円とし,計測システム自作・改良のための材料費,および観察対象の火炎の燃料費に充てる. 旅費を500,000円とし,調査研究・発表旅費に充てる. 人件費・謝金には50,000円を充て,150,000円をその他(学会参加費,論文投稿費)に充てる.
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