研究課題/領域番号 |
23560227
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研究機関 | 豊橋技術科学大学 |
研究代表者 |
小口 達夫 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90324491)
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キーワード | 燃焼 / 化学反応 / 詳細反応機構 / 反応中間体 / 着火 |
研究概要 |
当年度は,研究計画に従って次のように研究を推進した.1)リアルタイム微量反応中間体検出装置の構築と改良,2)装置の基礎的動作特性試験,3)大規模詳細反応機構の検証に関する基礎実験. まず1については,当初の計画通りに微量反応中間体検出装置を構築し,動作試験を行った上で,試験的な観測を行った.本装置は炭化水素類の微量中間体に関してサンプリング量のおよそ10-100ppm程度の濃度で検出が可能であり,レーザーでイオン化可能な範囲において多数の反応中間体を検出可能であることが確認された. 次に2については,昨年度より新規に構築された往復ピストン圧縮型反応器を用い,各種条件のもとでの着火燃焼・着火限界特性の試験と試験的なサンプリングテストを行った. 3については,別途用意した急速圧縮自着火反応試験装置により行い,既存のコンピュータプログラムにより自動生成された大規模詳細反応機構を用いた着火シミュレーションと比較検討したところ,概ね一致する結果が得られた.そこでこの反応機構について詳細に検討し,温度,圧力等の条件に対する着火遅れ時間の依存性とその要因を見いだした. 以上のように,自動生成された大規模詳細反応機構に対する実験的検証は着実に進んでおり,最終年度の実験およびとりまとめに向けて重要な基盤的知見を得ることができた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は主として,ソフトウエアで自動生成された大規模反応機構を用いた着火・未着火特性の検証に注力し,各種検討の結果,マクロな特性においては大規模反応機構による計算シミュレーション結果と実験結果との対応が妥当であることを見いだし,詳細反応機構の議論に十分耐えうるものであることを確認できた.また,昨年度~今年度に掛けて構築した新規反応器の特性試験は順調に進み,より高精度な実験へ向けての準備が整った.
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今後の研究の推進方策 |
構築された装置を用い,反応中間体の検出ならびに同定を行い,大規模反応機構の詳細な検討を行う.具体的には,芳香族炭化水素類の低温~高温酸化反応に関する実験的知見を得て,重点的に検討する.また,アルカン類・エステル類等,近年提案されている新しい反応機構等についても検討を行う. また,特に2種以上の化学種を混合した燃料に対する反応解析を行い,単独で反応させた場合と顕著に異なる反応メカニズムが存在すればそれを抽出し,クロス反応としてそれらを重視した反応機構の構築やリダクションを効率的に行う方法を検討する.
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次年度の研究費の使用計画 |
構築された装置の更なる高感度化のため,一部の構造を見直し,改良を行うことに使用するとともに,実験に必要な消耗品,光学部品等の購入に充てる.また,研究成果の発表として各種学会等への出張旅費にも使用する.
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