• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2012 年度 実施状況報告書

循環型過熱水蒸気利用による廃棄物の高効率再資源化に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 23560228
研究機関三重大学

研究代表者

丸山 直樹  三重大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (20209703)

キーワード廃棄物再資源化 / 熱工学 / 環境技術 / エネルギー効率化 / 廃熱利用
研究概要

1.具体的内容: 金属加工の際に発生する油分を含む切削屑を例に取り,廃棄物の再資源化処理に過熱水蒸気を適用し,エネルギー有効利用の観点から過熱水蒸気を凝縮させずに循環利用するための課題抽出と廃棄物の物性に適した循環型過熱水蒸気処理システムを構築することを目的とする.そして,近年開発されているワンスルー式過熱水蒸気処理装置に対する循環式の優位性を検討する.平成24年度は,原料となる切削屑の流路構築と流動特性の確認し,原料流れを完成させた.通常,流動特性の悪い切削屑に対策を講じることにより対応した.過熱水蒸気経路の関しては,平成23年度に導入した小型IH過熱水蒸気発生装置をはじめ,周辺機器を製作することにより循環流路を構築した.現時点では装置の試運転段階にあり,系統的なデータは取得できていないが,最終年度である平成25年度にデータ収集と分析ができるよう一連の装置製作を行った.理論的な視点からも,各構成機器の設計,実験条件の設定等を行った.
2.意義: 過熱水蒸気を活用したワンスルー方式の廃棄物の再資源化処理は,近年開発されているが,熱力学の視点から,過熱水蒸気を生成するために要する大きな潜熱を油水分離のために凝縮させてしまい,投入エネルギーを有効に利用しているとは言いがたい.本研究は,過熱水蒸気利用による処理で課題となっている水の蒸発潜熱を最小限に留められるような過熱水蒸気の循環による処理システムを構築することと,その妥当性を分析することであり,平成24年度までに廃棄物再資源化のシステムを構築できた意義は大きい.
3.重要性: 過熱水蒸気の廃棄物処理への適用例は見受けられるが,過熱水蒸気を循環利用する手法はほとんど見られない.平成24年度は,本研究の特徴である過熱水蒸気の循環経路を構築するための油水分離器の設計と製作,再加熱器の設計と製作を行い,本研究の要となる部分が構築できた.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本実験装置の過熱水蒸気発生器以外のほとんどの周辺装置を設計,製作および改良しながら進めているために予定以上の時間を要した.本実験の試験材料である油分を含んだ切削屑(原料)の循環装置は完成し,原料投入から排出されるまでに懸念されていた切削屑の詰まり現象については,攪拌機器を製作することで解決した.過熱水蒸気循環部分については,平成23年度末に導入した過熱水蒸気発生器から切削屑脱脂および油水分離に至るまでの実験段階にある.過熱水蒸気の再加熱部分については,幾度の設計を繰り返し,循環系を構築した段階にある.このように,実験装置については完成し,今後は実験を行いながら状況に応じて改善していく.
実験によるデータ収集に関しては試運転段階であるが,系統的な実験データを収集できるように機器の調整と実験条件を設定している段階にあり,ワンスルー処理と循環型処理を比較する定量的な消費エネルギーなどの系統データ収集できていない.
以上より,当初の計画よりやや遅れており達成度を(3)と判断した.

今後の研究の推進方策

平成24年度までに,一通りの実験装置の製作を行った.平成25年度はシステムの熱収支,エネルギー収支の観点で,平成23年度に検討したシステム制御パラメータの妥当性を実験により検証すると共に最適化,本システムのライフサイクル評価を行う.また,ワンスルー式処理システムと本研究の主目的である循環型処理システムの性能比較を行う.さらに,木材や植物性廃棄物への本システムの適用性や循環式処理システムの有用性にについて分析評価する.平成25年度は本研究の最終年度であるため,外部発表を視野に入れ,系統的なデータの収集や分析,研究のとりまとめ,報告書作成に関して取り組む予定である.

次年度の研究費の使用計画

主な研究費の使途としては,平成23年度に過熱水蒸気発生装置を購入し,平成24年度には周辺機器を製作するための材料費として使用した.平成25年度は最終年度であるため,システムのエネルギー消費やエネルギー収支を把握するためのセンサ等を購入する.すでに実験装置にいくつかのセンサを取り付けているが,システム構成機器個々の分析を行うために増設する予定である.とくに,循環型処理装置の特性を把握するための過熱水蒸気流量計測器を導入予定である.また,実験を遂行する上での装置改良のための実験装置や装置製作用の材料を購入する予定である.更に,平成25年度は本研究の最終年度であるため,状況に応じて,報告書作成や外部発表に対して支出する予定である.

URL: 

公開日: 2014-07-24  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi