研究課題
1.最終年度研究成果の具体的内容: 循環型およびワンスルー型の過熱水蒸気加熱装置を対象に,油付き金属切削屑脱脂システムの熱バランスとエネルギー消費の理論解析,実証試験装置による性能評価実験を行った.まず,熱バランスおよびエネルギー消費の理論解析により,ワンスルー型に対する循環型脱脂システムの省エネルギー性を示し,学術論文および国内外での研究発表を行った.それに平行して,循環型およびワンスルー型脱脂システムにより,油付き金属切削屑の脱脂実験を行った.また,ライフサイクル評価の観点では,双方のシステムを構成する機器のエネルギー消費を定量的に測定して消費電力量換算による分析を行った.その結果,循環型システムはワンスルー型システムより消費エネルギーを削減できること,ならびに脱脂効果が高いことを定量的に示し,循環型脱脂システムの優位性を検証した.2.意義: 循環型脱脂システム利用による油付き金属切削屑の脱脂法が,近年開発されているワンスルー型システムに対して省エネルギー性を持つことが示された点は,金属廃棄物の高付加価値リサイクルを目的とする今後の脱脂システムや廃棄物加熱システムの開発に有効である.3.重要性: 金属廃棄物に付着する油に含まれる不純物は,溶解リサイクル処理される金属の品質を低下させる.省エネルギーでかつ高い脱脂率で切削屑等を脱脂できるシステムを提案してその有効性を定量的に示すことは,資源有効利用の点で重要である.4.今後の研究計画: 3年間の研究期間を通して,脱脂システム構成の検討,熱およびエネルギーバランスの分析,実証機の構築,実験による定量評価を行った.実験の積み重ねにより,最適運転条件の把握を進めてきたが,更なる処理効率向上のための処理温度向上,脱脂油分量の測定精度向上,金属脱脂以外の廃棄物加熱処理への適用など,本システムの適用範囲の拡大と妥当性の研究進めていく.
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (6件)
International Journal of Modern Engineering Research
巻: Vol. 4, Iss. 4, Ver. 2 ページ: 32-39