高熱流束除熱の手段として沸騰冷却を応用する場合,工学的安全性の観点から緊急に解明すべき問題である。定常プール沸騰及び流動沸騰定常CHFのサブクール度に対する非線形特性を明らかにすることを目的に,過渡プール沸騰限界熱流束及び流動沸騰CHFに及ぼす発熱量上昇速度の影響,広範囲の圧力における過渡プール沸騰及び流動沸騰過渡CHF特性を明らかにした。実施した内容は,①水平円柱発熱体及びリボン発熱体を用いて,高サブクール度定常・過渡プール沸騰CHFデータを系統的に収集した。②細管を用い,流動沸騰定常CHF及び流動沸騰過渡CHFデータを系統的に収集した。③得られた実験データを分析し,従来から得られた実験結果を考慮して,CHF発生現象の解明を行った。純水の実験結果について,管内流動沸騰CHFに関する非線形現象をHIメカニズムとHSNメカニズムを考慮して実験データの再構築を行い,極大CHFに関わる最大サブクール度に及ぼす流速の依存性に関する表示式について検討した。フッ素系不活性液体であるフロリナート(FC-72)中において,円管直径,有効長さ,系圧力およびサブクール度を変え,流動沸騰CHFを系統的に求めるための試験装置を構築した。フロリナート(FC-72)は,飽和温度が水よりも低く,室温程度まででは,高いサブクール度を実現できない。したがって,特に大気圧の場合,液温を0℃以下にするために既設の冷却液循環装置(-40℃)を利用して,高サブクーリングを実現し,極大CHFを詳細に求め,実験結果を取りまとめているところである。また,以上の研究成果をとりまとめ国内外で発表した。
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