研究課題/領域番号 |
23560232
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
堀部 明彦 岡山大学, 自然科学研究科, 教授 (50229241)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 空調 / 吸着・収着 / ヒートポンプ / デシカント |
研究概要 |
(1)「静止型収着剤ユニット空調システムの試作機作製」 静止型収着剤ユニットの性能を評価するため, 所定の条件(空気温度、 空気湿度、 通過風量(流速))の空気を導入できる試験機を作製した.本試験機は, 空気制御部と試験部から構成する.空気温湿度の効果を独立して検討するため,個々の加熱・冷却器等によって空気の温度制御する.露点温度(湿度)を測定するため試験部入口,出口に露点計を設置した.試験部は静止型収着剤ユニットを想定し,100mm×100mの断面を有するハニカム状の基材に収着剤を塗布した矩形収着剤ユニットを用いた構造とした.試験部は長さ0.5 mのものが3つ接続させている. (2)「静止型収着剤ユニットの基礎的収着・脱着挙動の把握」 実機の性能を予測できるように収・脱着挙動に及ぼす各因子の影響を検討した.なお,試験因子が多いため各因子の影響を評価する場合には,まず基本条件を定め,評価対象因子以外は条件を固定し優先順位を決めて実験を行った.今年度は,試験因子としてハニカム長さ,脱着空気温度,脱着空気湿度,試験部流速(流量)について検討し,測定結果をもとに,各入口空気条件における出口空気温度・湿度の経時変化,出口空気平均温度・湿度,ハニカム内の水分量の経時変化,圧力損失等について明らかにした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた「静止型収着剤ユニット空調システムの試作機」については,予定通り製作ができ,当初設定していた性能を示している.さらに条件範囲を拡大できるように改良を加えている. 上記試作機を用いた「静止型収着剤ユニットの基礎的収着・脱着挙動の把握」については,予定していた実験因子の影響を明らかにする実験を行った,まず試験因子としてハニカム長さ,脱着空気温度,脱着空気湿度,試験部流速(流量)について検討し,測定結果をもとに,各入口空気条件における出口空気温度・湿度の経時変化,出口空気平均温度・湿度,ハニカム内の水分量の経時変化,圧力損失等について明らかにした.これは当初の目的・予定にほぼ合致するものである.
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今後の研究の推進方策 |
(1) 「静止型収着剤ユニットの収着・脱着挙動の評価」 前年度の実験における種々のデータを元に,空気流速,温度,湿度など,水蒸気の物質移動に関係する因子の影響を検討し整理する.必要に応じて実験条件を追加して実験を行う.さらに,本収着剤を利用した静止型収着剤ユニット空調システムが有効かどうか評価する.(2) 「ヒートポンプ併用パイロットプラントの作製」 実機として想定しているのは,静止型収着剤ユニットの入口空気温湿度制御にヒートポンプの凝縮器や蒸発器を用いるシステムであり,システム稼働状況,性能,効率を把握するために,ヒートポンプを用いたパイロットプラントを作製する.実験装置は,試作機の構成を基本とするが,汎用のヒートポンプの蒸発器,凝縮器を試験部前に設置する.(3) 「ヒートポンプ併用パイロットプラントの性能解析」 収着・脱着の経時変化や装置の熱容量を考慮したバッチ式の収着,脱着の切り替え時間の最適化や除湿特性について明らかにし,実機として用いる際の基礎的データを整理し性能評価を行う.(4) 「想定される種々の実機での性能予測」 それまでの実験結果を元にして,実機の導入現場にて簡単に性能予測ができるよう,本システムによる効果を種々のケースにおいて算定できるように簡易な計算モデルを構築する.
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度の研究費は,静止型収着剤ユニット空調システムの試作機の改良および変更(ヒートポンプ付加など)に必要となる実験装置部材(アクリル板,熱電対,ヒートポンプ材料など)に使用する.合わせて,本研究分野の最新の研究動向を把握するための学会講演会参加などの旅費に支出する.
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