研究概要 |
本研究の目的として,気泡微細化沸騰のメカニズムの解明へのアプローチと研究成果の応用として提案してきた「高熱流束沸騰冷却デバイスモデル」の実用化研究の一環として,「混合媒体のサブクール沸騰特性」および「加圧条件下におけるサブクール沸騰特性」に関するデータを集積することにある.前者は,サブクールプール沸騰において伝熱面上に成長した合体気泡に超音波(20kHz)を照射し,サブクール度が20Kで大きな気泡微細化沸騰促進効果が確認された.このことは,静止サブクール水中に円形ノズルから放出された蒸気泡の気液界面不安定から気泡崩壊まで観察した上野らの研究結果と一致する(Ueno,I. & Arima M., Intl. J. Microgravity Research and Applications, Vol.XIX/3-4, pp128-129,2007).この結果から,気泡微細化沸騰のメカニズムの推定に関し,「第48回日本伝熱シンポジウム」および「ISTP-22, Proc. 22nd Intl .Symp.on Transport Phenomena, CD-ROM istp22-106, November 2011」で発表した. 今年度は,新たに水中で音響振動を与え,周波数および強度の,沸騰気泡の気液界面への影響について試験を試みる.試験装置の設計製作はほぼ最終段階にある.後者は,高 熱流束沸騰冷却が車載用インバータの冷却に用いられる場合,「不凍液など混合媒体の使用」および「加圧状態での冷却システムの使用」が考えられるため,「系圧力がサブクール沸騰に及ぼす影響」および水以外の媒体,すなわち粘性,表面張力など物性値の異なる例えば「エチレングリコール水溶液の気泡微細化を伴うサブクール沸騰」の試験データを採取する. 現在,装置の製作がほぼ最終段階にある.
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