研究課題/領域番号 |
23560247
|
研究機関 | 岐阜工業高等専門学校 |
研究代表者 |
片峯 英次 岐阜工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (00224452)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
キーワード | 最適設計 / 形状最適化 / 連成問題 / 有限要素法 / 随伴変数法 |
研究概要 |
弾性体,熱伝導場あるいは流れ場などの連続体領域形状を設計対象にした形状最適化問題は,機械構造物を設計する上で重要な問題である.実際の設計現場においては,弾性・伝熱・流れの連成を考慮した複雑な問題に対して形状設計を行う場合が多く,合理的な形状最適化法の確立が強く望まれている.本研究では,伝熱と弾性変形を連成させた熱弾性場,あるいは伝熱と流れを連成させた熱対流場などの複雑な問題に対して,合理的な多目的形状最適化の解法を提案し,その妥当性を検証することを目的とする.今年度の主な研究実績は次の通りである.(1)予備研究として,連成場でない粘性流れ場問題を取り上げ,一様粘性流体中に置かれた孤立剛体に対して,抗力最小化・揚力最大化の多目的形状最適化の解法を提案し,その解法の妥当性を確認した.具体的には,抗力最小化と揚力最大化のそれぞれに重み係数を考慮した目的汎関数を用いた多目的形状最適化問題の解法を提案した.はじめに,随伴変数法を用いて形状修正の感度となる形状勾配関数を理論的に導出した.その形状勾配関数を評価するための解析アルゴリズムを提案して,二次元のプログラム開発を行い,解析例から提示した解法の妥当性を確認した. (2)熱弾性場問題の予備研究として,剛性最大化の単一化の形状最適化問題の解法を試み,形状修正の感度関数の導出,二次元の簡単な数値解析から,解法の妥当性を確認した.(3)熱対流場における多目的形状最適化に対して解法を試みた.具体的には,強制熱対流場の部分領域において,実際の温度分布と目標の温度分布との温度分布二乗誤差最小化と,熱対流場全体で失われるエネルギー最小化の多目的形状最適化問題の解法について検証した.問題の定式化,形状修正の感度関数の導出,二次元の数値解析プログラムの開発等を行い,簡単な数値解析においては提示した解法の妥当性が確認できた.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度に実施予定していた,一様粘性流体中に置かれた剛体に対する抗力最小化・揚力最大化の多目的形状最適化,また平成24年度実施予定していた熱対流場における温度分布コントロールと対流場全体で失われるエネルギー最小化の多目的形状最適化に対する検証が実現できた.
|
今後の研究の推進方策 |
熱弾性場における多目的形状最適化,また熱弾性場,熱対流場に対して三次元の多目的形状最適化に着手する予定である.具体的には, (1)熱弾性場問題に対しては, (1-a) 部分境界において熱変形分布および温度分布の両方をコントロールする多目的形状最適化,(1-b) 部分領域における熱応力のコントロールと質量最小化を目的とした多目的形状最適化,などの解析とそれらの検証を試みる. (2)熱対流場問題に対しては,平成23年度に基本的な妥当性が確認された,温度分布とコントロールと熱対流場全領域で失われるエネルギーを最小化する多目的形状最適化について,詳細な検証を試みる. これらの多目的形状最適化について,三次元解析プログラムを開発する予定である.
|
次年度の研究費の使用計画 |
主に,複雑な三次元モデル作成のためのプリ処理ソフトの購入費,これまでの研究成果を国内外の学会において口頭発表するための旅費等に使用することを予定している. 次年度に使用する予定の研究費については,数値解析協力のための謝金や,熱弾性場問題の予備研究として実施した剛性最大化のための形状最適化の研究成果を国際会議にて発表するための費用等として利用する計画である.
|