本研究では,伝熱と弾性変形を連成させた熱弾性場,あるいは伝熱と流れを連成させた熱対流場などの複雑な問題に対して,合理的な多目的形状最適化の解法を提案し,その妥当性を検証することを目的とした.平成25年度の主な研究実績は次の通りである. 1.前年度に実施した熱対流場の部分領域において温度分布をコントロールし,熱対流場全体での散逸エネルギーを最小化する熱対流場の多目的形状最適化の研究成果を国際会議,および雑誌論文として発表した. 2.前年度に実施した熱弾性場問題の部分領域において熱応力分布を規定する単一目的形状決定の研究成果を国内の学会で口頭発表した. 3.粘性流れ場の部分領域において流速分布をコントロールし,流れ場全体での散逸エネルギーを最小化する粘性流れ場の多目的形状最適化問題の解法を試みた.重み付き線形和に基づいて目的汎関数を設定した場合,ε制約法に基づいて問題を設定した場合の二通りの問題に対して定式化を行い,形状修正の感度関数の導出,解析プログラムの開発を行って,簡単な数値解析結果より,解法の妥当性を確認した.また,その研究成果を国内の学会で口頭発表した. 4.熱弾性場の部分境界における熱変形コントロールと質量最小化の多目的形状最適化の解法を試みた.ε制約法に基づいて問題を設定し,形状修正の感度関数の導出,解析プログラムの開発を行って,簡単な数値例を通じて解法の妥当性を検討した.また,熱弾性場の部分境界における温度分布コントロールと熱変形コントロールの多目的形状最適化に対して,ε制約法に基づいて問題を定式化し,形状修正の感度関数の導出,解析プログラムの開発を行って,簡単な数値例から解法の妥当性を検討した.
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