研究課題/領域番号 |
23560250
|
研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
山口 誉夫 群馬大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90323328)
|
研究分担者 |
藤井 雄作 群馬大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (80357904)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
キーワード | 機械力学・制御 |
研究概要 |
介護者と被介護者にやさしい介護用機械のアームの材料,動特性,作動計画を明らかにするための検討を行っている.初年度は,生体あるいは介護機械用高分子材料の非線形領域まで考えた衝撃特性を表現するために,非線形減衰,非線形復元力を考慮した複素ばねを提案して,有限要素法に組み込み,計算プログラムを開発できた.開発したプログラムで,生体の指を二つの中空断面を持つ粘弾性緩衝材で挟み,アルミ製ブロックを衝突させ応答を計算し動的な復元力特性を求めた.この計算に対応する実験結果を,研究分担者の藤井が提案する浮上質量法で計測し得た.変形の進行にともなう動的な復元力の変化,指の有無による復元力の変化は,実験と計算で一致できた.この緩衝材は,発泡させた柔軟な高分子材料で作られており,そのヒステリシス減衰で衝突エネルギーを熱エネルギーに変換し衝撃を緩和する.さらに緩衝材の断面は中空となっており,衝撃荷重が大きい条件では,座屈して潰れ,その時にエネルギーを吸収できる.ただし,中空部が潰れきると硬くなり衝撃の吸収性能が落ちる.この特性を,非線形ばね定数を複素数で表した非線形複素ばねで計算し表現できた.変形が増すとともに衝撃吸収が増え,座屈により,さらに一段と衝撃吸収が増え,潰れた後に衝撃吸収が減少する特性が,提案する計算モデル,計算法,計算プログラムで表現できることがわかった.ここまでの結果をまとめ,日本機械学会の機械力学計測制御部門の講演会と音と振動を用いた監査および診断に関する国際会議で発表した.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
申請時の当初の計画では,平成23年度(当該年度)と24年度(次年度)で,「生体あるいは介護機械用高分子材料の非線形領域まで考えた衝撃特性を実験で把握」.「非線形減衰,非線形復元力を考慮した数値解析用のモデル化と有限要素法への組み込み」を達成することが目標となっていた.平成23年度(当該年度)では,後者の目標について,生体あるいは介護機械用高分子材料の非線形領域まで考えた衝撃特性を表現するために,非線形減衰,非線形復元力を考慮した複素ばねを提案して,有限要素法に組み込み,計算プログラムを開発できている.さらに開発したプログラムで,生体の指を二つの中空断面を持つ粘弾性緩衝材で挟み,アルミ製ブロックを衝突させ応答を計算し動的な復元力特性を求め,実験結果と一致する結果を得ている.したがって,もう一つの前者の目標についても,実験がなされ一定の結果を得ている.以上の理由により達成度として「当初の計画以上に進展している.」とした.
|
今後の研究の推進方策 |
平成23年度(当該年度)では,生体の指と中空断面の発泡高分子粘弾性緩衝材を組み合わせた系の衝撃応答特性の実験把握と,対応する計算法と計算プログラムの開発と検証ができている.平成24年度(次年度)では,実験対象を指以外の生体,他の種類の緩衝材に広げ,衝撃特性の実験把握と計算パラメータの同定を実施していく.さらに平成25年度(次次年度)に.それまでに得られた結果を吟味し,介護用機械を模擬したアームと生体,高分子材の衝突評価装置を作成する.その実験解析,数値解析から介護者と被介護者にやさしい介護用機械のアームの材料,動特性,作動計画を明確にしていく.
|
次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度(次年度)では,実験対象を指以外の生体,他の種類の緩衝材に広げ,衝撃特性の実験把握と計算パラメータの同定を実施していく予定であるので,そのための消耗品(材料,電気・電子部品,機械部品etc.)に研究費を使用する予定である.また,成果の学会発表や情報収集のために旅費に研究費を使用する予定である.実験対象を上記のように拡張するための消耗品等の準備として,平成24年度(次年度)への研究費の繰越を行う.
|