研究課題/領域番号 |
23560251
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
佐藤 勇一 埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (30134828)
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研究分担者 |
長嶺 拓夫 埼玉大学, 理工学研究科, 准教授 (00323379)
森 博輝 埼玉大学, 理工学研究科, 准教授 (50451737)
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キーワード | 自励振動 / 流体関連振動 / 渦励振 / ギャロッピング / 安定性 |
研究概要 |
石油化学プラントや発電所等では、高層煙突が数多く設置されている。これらの高層煙突は、鉄塔構造で支持されているものも多い。一般に、空気流れと部材が干渉し後流中に発生する渦がもとで個々の部材が振動し、一群の部材あるいは鉄塔全体の振動に発達することがある。このような空力励振は、カルマン渦が原因であることが多い。カルマン渦による振動現象であれば、風の向きに関わらず振動が発生する。しかし、本研究で対象とする振動は一定の方向からの風向きでのみ振動が発生した。このようなことから良く知られているカルマン渦による振動ではないことが分かる。また、煙突の風上側では煙突まわりの流れのウェイクギャロッピングではない振動も発生する。製品の設計においては、カルマン渦による振動を防止するための検討はなされているが、本研究が対象としている流体が関連する不安定振動については振動の防止方法が確立されていない。申請者らは、実際に観測された現象をもとに、理論解析を行っている。流れ場を仮定し部材に働く圧力を計算した。この圧力を外力とした部材の運動方程式から振動モードについて検討を行い、風速により不安定振動が発生することを明らかにしている。この理論解析をもとに、系の安定判別を行うことが可能となった。さらに本年度は流れ場の可視化を行うために実験装置を大きく改造した。流れ場がなかなか安定しなかったため調整に時間が取られた。流れ場の流速計測を実施するとともに、円柱周りでの弾性棒の振れ回り実験を行い、データを計測した。前年度までの実験と定性的に同じ結果が得られている。特に円柱の上流側と下流側でその振れ回りの特性が変化することを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、円柱近傍の流れ場とその中に配置された弾性部材と構造部材との相互作用により発生する流体関連振動である。この発生メカニズムを実験を主体として明らかにしていく。実験結果は、順次理論解析結果と比較を行うことにより、理論解析の検証をおこなっていく。実験系の各パラメータの影響についてのデータを取得することはできた。さらに、流れ場を可視化可能な実験装置の製作が完了した。この装置で振れ回り実験を行い求める振れ回りを計測し観察することができている。今後は流れ場からの流体力を評価するとともに、数値シュミレーションにより、その振動発生モデルを構築するとともにそのメカニズムと振動の防止方法の検討を行う。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は、平成24年度に引き続き実験を主体としてデータを収集し、各パラメータの影響と発生メカニズムにおける役割を明らかにする。さらに得られたデータにより理論解析を検証するとともに、数値解析によりより詳細な検討を実施する。新しい実験装置をを流れ場の計測と可視化を行うとともに、流れ場からの流体力を評価検討する。さらに可視化した、それらのデータと数値シミュレーションの実施結果からモデルの検証を行う。これらの検討結果から、不安定振動の防止方法について、その方法を検討し実験と数値シミュレーションの両方から振動防止方法の構築を進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
昨年度の研究成果に引き続き、新たに製作した可視化した流れ場での実験を実施しその結果と数値シミュレーションの結果を比較しながら、円柱周りに配置された弾性棒の振れ回り振動の防止方法を構築する予定である。結果については、学会にて報告するとともに、関連分野での学会に参加し他の関連研究成果の情報を収集する。
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