研究課題
平成24年度は、以下の検討を行った。まず、MFCアクチュエータの動的ひずみセンサとしての特性を検討した。MFCアクチュエータと光ファイバセンサを試験片に接着し、同試験片に衝撃を付加して両センサの計測結果を時間領域と周波数領域で比較することで、MFCアクチュエータの動的ひずみセンサとしての特性を検討した。その結果、MFCアクチュエータは光ファイバセンサと比較して、衝撃によるひずみのセンシングについては同等の性能を有することを確認した。また、動的ひずみ計測システムを検討した。微小な衝撃により伝播するAE波を、超音波送受振システムと同じデバイス構成で構築が可能であるかを検討した。その結果、超音波送受振システムと同一のシステム構成で、すなわち、試験片に接着されたMFCアクチュエータと光ファイバセンサで、衝撃により伝播する弾性波と微小な衝撃により伝播するAE波を計測可能な動的ひずみ計測システムが構成できた。さらに、衝撃による受振ひずみの関係、また微小クラック発生にともなう受振ひずみの関係を検討した。実験では負荷点や大きさを変化させて衝撃荷重をスキンに負荷し、各MFCアクチュエータの受振ひずみがどのように変化するか調べた。各計測結果から、その振幅の大きさと到達時間から負荷の大きさと付加点の位置同定が概ね可能であることを確認した。また、衝撃によって内部損傷が発生すると、計測されるひずみ波形に特徴的な変化が現れると予想されるため、受振波の振幅と周波数特性から内部損傷の発生の有無を推定可能な指標を検討したが、現時点では有効な指標を決定できていない。
3: やや遅れている
平成24年度は、(1)MFCアクチュエータの動的ひずみセンサ特性の確認、(2)動的ひずみ計測システムの構築、(3)衝撃・微小クラックと受振ひずみの関係の解明の三点を計画した。研究の結果、(1)、(2)については順調に進展したが、(3)については、受振波の振幅と周波数特性から内部損傷の発生の有無を推定可能な指標を検討したが、現時点では有効な指標を決定できていない。以上の理由から、全体としてはやや遅れている。
平成25年度は、以下を検討する。まず、衝撃・微小クラックと受振ひずみの関係の解明する。衝撃によって内部損傷が発生すると、計測されるひずみ波形に特徴的な変化が現れると予想されるため、受振波の振幅と周波数特性から内部損傷の発生の有無を推定可能な指標を検討する。また、実構造実験モデルによる総合的構造ヘルスモニタリングについて検討する。これまでに得られた知見を踏まえ、接着はく離、衝撃、微小クラックの定量的な検知が可能なモニタリングシステムを構築する。
次年度使用額(次年度への繰越額)が19,322円となった。これは予算額との軽微な差である。次年度使用額は直接経費が1,200,000円の当初計画から1,219,322円に変更する。内訳は、物品費を260,000円から279,322円に変更する。増額分はMFCアクチュエータの購入に充当する。旅費については当初計画どおり350,000円、人件費・謝金費についても当初計画どおり40,000円、その他についても当初計画どおり550,000円である。
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検査技術
巻: Vol. 18, No. 3 ページ: 27-32
日本機械学会論文集(C編)
巻: 78巻789号 ページ: 1410-1419