本研究の目的を達成するためには,機構の創出と解析モデルの完成,脚の柔軟化と対地適応,胴体の柔軟化と外乱適応という三段階の研究計画,及び研究成果の踏まえ,研究調査,既存実験装置の活用,理論解析と実験検証の研究方法によって,研究計画の通り,下記の機構の創出と解析モデルの完成および脚の柔軟化と対地適応に関する研究開発を進めた. 1.全身柔軟性を持つ6脚歩行ロボットの機構の創出: 研究代表者のいままでの2足ロボットの受動能動融合型アクチュエータの開発成果を踏まえ,ひずみを増大させる十字バネ構造を駆動部と出力部の間に挟み込むようなトルク検出機構を開発した.開発した十字バネ検出機構を6脚歩行ロボットの各関節に装着して,検出した関節トルクを用い,トルクフィードバック制御を行えるような全身柔軟性を持つ6脚ロボットの機構を設計した. 2.各関節の回転位置・トルクと脚との力の釣り合い関係の解明: 動力学解析によって,各関節の回転位置・トルクと脚との力の釣り合い関係を解明し,脚先の力制御を行うことを可能にした. 3.位置と力のハイブリッド制御の設計: 解明した各関節の回転位置・トルクと脚の力の釣り合い関係に基づき,各支持脚の力を算出することによって,脚先の位置と力のハイブリッド制御を行った. 4.6脚ロボットの全方向バーチャル力学モデルの構築: 胴体のヨー姿勢,横方向及び進退方向にもバーチャル力学モデルを構築し,ロボットの全方向,すなわち6自由度のバーチャルモデルを構築した.また,解析と実験によって本制御手法の有効性を確認した. 以上のことによって,本研究では,バーチャル力学に基づく各脚の位置・力と胴体の位置・姿勢・力・モーメントの釣り合い関係に基づき,多脚ロボットの環境適応型全身位置・姿勢・力・モーメントの知的歩行制御の提案と構築を行った.さらに,解析と実験によって,その有効性を確認した.
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