研究課題/領域番号 |
23560256
|
研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
田代 発造 富山大学, 大学院理工学研究部(工学), 准教授 (80179689)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
キーワード | 微小角度変位 / 臨界角 / ナノラジアン / 角度センサ / 画像処理 |
研究概要 |
近年ナノ加工やナノメートル単位の変位測定が行われるようになってきたが、工業界ではナノラジアンでの角度測定はまだ行われていない。先行する研究として、光の臨界角近辺で透過光量と反射光量が急激に変化する原理を使って2つの光センサを使った方法により微小角度測定を行った。本研究では透過光と反射光の分布を観測し、情報量を増やすことで、測定の感度と精度の向上を目的とした。 研究期間内に以下の5点を行うことになっている。(1)透過光の分布および反射光の分布を画像で観測する光学系を作成する。また、専用の頂角と反射防止膜等を施したプリズムの使用により、迷光による悪影響を軽減する。得られた光強度分布を解析することで、単に光強度の急激な変化よりも測定の感度および精度を向上させることができる。(2)実験的問題である回転装置の性能を高めるために、PZTの代わりに、ヒステリシスの小さいエレクトロストリクティブアクチュエータを使った微小回転装置を新たに製作する。(3)得られた画像データを処理するプログラムを作り、(4)微小回転装置の性能を明らかにし、(5)実験結果および微小回転角度測定装置の特性を評価する。 23年度において(1)(2)を行うことになっており、それを達成した。ただし、エレクトロストリクティブアクチュエータの代わりに、目的とする回転角度を得るための装置を購入することができたので、それを利用することにした。現在、画像データの光強度分布から、指定範囲内の光強度の和を得て、微小角度変位を得ることができた。また、さらに微小な変位を得るための装置を開発中である。さらに透過光の分布の代わりに、全光分布を使う方法が良いとのアイデアが生まれた。これらのことを学会で発表し、特許申請を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
23年度に予定した研究実績の概要中の(1)(2)を順調に進めた。(1)透過光の分布および反射光の分布を画像で観測する光学系を作成した。その際、専用の頂角と反射防止膜等を施したプリズムの使用により、迷光による悪影響を軽減することができた。(2)実験的問題である回転装置の性能を高めるために、PZTの代わりに、ヒステリシスの小さいエレクトロストリクティブアクチュエータを使った微小回転装置を新たに製作する予定であったが、目的とする回転角度を得るための装置を購入することができたので、それを利用した。 既に、画像データの光強度分布から、指定範囲内の光強度の和を得て、微小角度変位測定結果を得ることができ、24年度予定の画像処理および解析方法の基本的部分がまとまった。また、さらに微小な変位を得るための装置を開発中である。さらに透過光の分布の代わりに、全光分布を使う方法が良いとのアイデアが生まれた。これらのことを学会で発表し、特許申請を行った。
|
今後の研究の推進方策 |
透過光と反射光の分布による微小角の変位測定を行えたが、24年度は新しいアイデアである反射光と全光の分布を使った方法の実験を新たに行いたい。また、装置の小型化を行い、実用性とともに再現性の向上を目指したい。同時に研究実績の概要中の(3)得られた画像データを処理するプログラムを作り、(4)微小回転装置の性能を明らかにしたい。 25年度は(5)実験結果および微小回転角度測定装置の特性を評価する等を進めたい。同時に装置の改良と多くの実験による再現性の検討を行いたい。
|
次年度の研究費の使用計画 |
新しいアイデアと小型化のための装置作りに必要な光学部品や材料の購入、解析処理プログラムのためのコンピュータ用品、極微小角度変位装置作成のための電気部品の購入を行う。また、学会発表のための旅費を計画している。
|