研究課題/領域番号 |
23560256
|
研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
田代 発造 富山大学, 大学院理工学研究部(工学), 准教授 (80179689)
|
キーワード | 微小角度変位 / 臨界角 / ナノラジアン / 角度センサ / 画像処理 |
研究概要 |
近年ナノ加工やナノメートル単位の変位測定が行われるようになってきたが、工業界ではナノラジアンでの角度測定はまだ行われていない。先行する研究として、光の臨界角近辺で透過光量と反射光量が急激に変化する原理を使って2つの光センサを使った方法により微小角度測定を行った。本研究では透過光と反射光の分布を観測し、情報量を増やすことで、測定の感度と精度の向上を目的とした。 研究期間内に以下の5点を行うことになっている。(1)透過光の分布および反射光の分布を画像で観測する光学系を作成する。また、専用の頂角と反射防止膜等を施したプリズムの使用により、迷光による悪影響を軽減する。得られた光強度分布を解析することで、単に光強度の急激な変化よりも測定の感度および精度を向上させることができる。(2)実験的問題である回転装置の性能を高めるために、PZTの代わりに、ヒステリシスの小さいエレクトロストリクティブアクチュエータを使った微小回転装置を新たに製作する。(3)得られた画像データを処理するプログラムを作り、(4)微小回転装置の性能を明らかにし、(5)実験結果および微小回転角度測定装置の特性を評価する。 23年度において(1)(2)を達成し、さらに透過光の分布の代わりに、全光分布を使う方法が良いとのアイデアが生まれた。24年度には(3)(4)を行うことになっており、プログラムができ、実験を行ったが、画像中にレーザ光の特徴である干渉等による雑音が生じたため、目的とした性能は得られなかった。そこで、干渉縞等の雑音が出ない工夫と、その雑音を軽減できる装置を開発中である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
23年度に予定した研究実績の概要中の(1)(2)を順調に進めた。(1)透過光の分布および反射光の分布を画像で観測する光学系を作成した。その際、専用の頂角と反射防止膜等を施したプリズムの使用により、迷光による悪影響を軽減することができた。(2)実験的問題である回転装置の性能を高めるために、PZTの代わりに、ヒステリシスの小さいエレクトロストリクティブアクチュエータを使った微小回転装置を新たに製作する予定であったが、目的とする回転角度を得るための装置を購入することができたので、それを利用した。 24年度に予定した(3)のプログラム作成および解析方法は確立された。また、透過光の分布の代わりに、全光分布を使う方法が良いとのアイデアを入れ、かつ小型化した装置を作り、その実験、解析結果を学会で発表した。しかし,画像に生じる雑音により,希望した測定感度や精度が得られていないため、(4)については少し遅れている。この問題を解決するための装置を組み立てているところである。また、アドバイスを25年度に受ける予定であったが、それを早めて行い、問題の解決方法に対して指摘を受けた。
|
今後の研究の推進方策 |
問題となっているレーザの干渉縞等の雑音を軽減するために干渉し難いLED等の光源を使う装置に改良する。また光量の計算範囲に関して雑音を軽減できる範囲とするプログラムを作成する。その結果微小回転角度測定システムを完成させ、(4)微小回転装置の性能を明らかにするとともに、本年度予定の(5)実験結果および微小回転角度測定装置の特性を評価する等を進める予定である。また、それらを学会等で発表する。 さらに、追加の研究(6)として、改良された装置に本研究の基本である2つのセンサを取り付けることを行い、比較検討を行う。
|
次年度の研究費の使用計画 |
新しいアイデアを入れた装置作りに必要な光学部品や材料の購入、解析処理プログラムのためのコンピュータ用品、極微小角度変位装置作成のための電気部品の購入を行う。また、学会発表のための旅費を計画している。なお、当初25年度に予定していたアドバイスを24年度に行い、問題解決の一助としたので、その分を装置改良の費用に充てる。 さらに、改良装置に二次元センサではなく、光センサを取り付けるための電気部品や部材等を購入する。
|