研究課題/領域番号 |
23560257
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
井上 剛志 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70273258)
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研究分担者 |
神谷 恵輔 愛知工業大学, 工学部, 教授 (50242821)
石田 幸男 公益財団法人名古屋産業科学研究所, その他部局等, 研究員 (10092991)
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キーワード | ロータクラック / 有限要素解析 / クラックのモデル化 / 実験 / クラックの位置と深さの影響 / 固有値解析 / 振動診断法 |
研究概要 |
初年度に検討した,回転とともに開閉するブリージングクラックのモデリングをさらに拡張し,開閉の遷移についてもモデリングするための理論検討を行った.そしてブリージングクラックを有する回転軸系の振動について解析するための数値シミュレーション解析コードを開発した.また,実際に疲労クラックを入れるための疲労実験を繰り返し実施した. (1) 軸の回転に伴うクラックの開閉の遷移過程も組み込んだブリージングクラックモデルを構築した. この剛性の時間変化を伴う有限要素回転軸モデルも構築し,その回転速度を変化させ,クラックに起因する振動が発生する副共振点付近における振動を高速に数値解析できるコードを開発した. (2)疲労試験により軸に疲労亀裂を発生させ進展させるための実験を繰り返し実施した.しかし,明確な疲労クラックの実験的な実現にはまだ至っておらず,さらに継続的に実施する必要がある. (3)回転軸系の軸受剛性に方向差があると,系の振れまわりは楕円軌道となりその解析に必要な系の自由度が大きくなる.オープンクラック軸が支持剛性に方向差がある軸受で支持されているときに外部から加振をすることによるアクティブ診断手法の開発を目指し,オープンクラックに起因する扁平性の特性と軸受剛性の方向差の特性の双方を考慮した理論解析手法をオーダー評価の手法を導入して検討・構築し,その理論解析結果を実験結果と比較して妥当性を明らかにした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
・ブリージングクラックのモデリングを,深さ50%の場合について達成したが,回転とともに遷移する開閉の度合いの変化による剛性の表現に予定よりも時間がかかっており,まだ汎用性が高いモデルの構築には至っていない. ・実験による多数の疲労クラック軸作成が予定よりも遅れており,少し優先度を挙げて取り組む必要がある. ・オープンクラックの場合の検討については,その検出用およびその特徴の定量的解析法の開発が完了し,予定通り進んでいる. ・従来の周波数伝達関数の考え方を応用したクラックロータの振動解析手法についても検討し,等方性支持の場合については理論解析と実験による検証を達成した.これもクラックの検出のための1手法として有用な手段となると考える.
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度 クラックロータの振動解析と疲労進展の連成理論モデルおよび解析法の構築 (1) 理論解析手法の検討:オープンクラックと支持剛性の方向差があるときのクラックロータの周波数伝達関数の解析を行い,加振によるクラックの検出法の開発を目指す.また,ブリージングクラックの場合については,それに起因して各種非線形共振の発生が予想される.たとえば加振を加え加振周波数を変えるときに結合調波型の非線形共振が複数発生する.これらの共振の定性的特性を陽に説明でき,かつ大規模系の定量的解析が可能な理論解析法を開発する. (2) クラックの位置と深さの推定法の開発: 1,2年目の成果(クラックモデルと解析手法)を用いて,クラックによる共振の共振周波数のクラック位置と深さに対する変化を求め予想マップを作成する.疲労クラック軸を用いた実験の応答曲線を記録し,共振周波数の実測値と予想マップを用いてクラック位置と深さを推定する方法を開発する. (3) クラックの疲労進展モデル構築と振動との連成解析モデルの開発:1年目と2年目の成果を用いた振動解析によりクラック部の応力を評価する.そしてその繰り返し応力に対するクラックの疲労進展を評価する理論モデルを構築し,振動解析と疲労進展を連成させて同時に解析する理論モデルを開発する.その連成解析モデルの妥当性を調べるために,初期ノッチを入れた実疲労クラック軸を支持した実験装置を製作する.長時間回転させつつ定期的に共振曲線と固有振動数を計測・記録し,これらの実測データと理論モデルにより予測される振動変化と疲労進展を比較・検討する.
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度はクラックロータの振動解析と疲労進展の連成理論モデルおよび解析法の構築を目指す. ・前年度作成できなかった疲労クラック軸を多数作成する必要がある. ・前年度開発した周波数応答関数を用いた解析を用いてクラックの検出を実験で行うにあたり,2chFFTアナライザーを購入する必要がある.
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