研究課題/領域番号 |
23560259
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研究機関 | 名古屋工業大学 |
研究代表者 |
井門 康司 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40221775)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | ダンパ / 粒状体 / 磁気混合流体 / 磁性流体 / 減衰力可変 / 粒子群 |
研究概要 |
磁気混合流体を用いたダンパについて,繊維状高分子材料としてαセルロースを混合した場合について減衰力特性を明らかにした.αセルロースの混合割合の異なる磁気混合流体を用いて減衰力特性を実験的に調べた結果,αセルロースを混合することによって減衰力が大きくなることを示した.また,磁気混合流体に含まれるミクロンサイズ強磁性粒子の一部をαセルロースに置き換えた場合,印加磁場強度に対する減衰力増幅率は減少するものの,減衰力そのものについては同様かそれ以上の強さが得られることを明らかにした.この結果,強磁性粒子の一部をαセルロースに置き換えることによるダンパの軽量化が可能であることも示した. 強磁性を有する鋼球を用いた粒状体ダンパについて,ダンパ軸方向に印加磁場を与えた場合の減衰力特性について実験的に調べた.その結果,磁場印加によってその減衰力-変位曲線は大きく変化し,強い磁場を印加すると死点近傍で急激に減衰力が増加することを明らかにした.また,印加磁場に対する減衰力の応答についても調べ,磁場印加および印加磁場消去に対して減衰力変化はミリ秒のオーダーで応答することを明らかにした. 粒状体ダンパ内部での粒子挙動を数値解析によって明らかにするため,個別要素法による解析プログラムを作成して数値解析を行った.これにより,振動時の基本的な粒子挙動を明らかにした. ゲル粒子を用いた粒状体ダンパについて,その減衰力特性を実験によって明らかにした.金属粒子を用いた場合よりも弾性的な性質が強く発現し,あまり強い減衰力が得られないことが明らかとなった.また,磁性粒子を混合したゲル粒子を用いると,より大きな減衰力が得られることも明らかにした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画で示していたもののうち,(1)繊維状高分子材料を混入した磁気混合流体ダンパの減衰力特性,(2)粒状体ダンパ減衰力特性の印加磁場依存性,(3)粒状体ダンパ内粒子挙動の数値解析,(4)磁気混合流体ゲルダンパの試作,については基本的に予定通り達成できた.磁気混合流体ダンパの数値解析については遅れているものの,次年度以降に計画していた磁気混合流体ダンパの現象論的モデルの構築については一部成果がえられている.したがって,おおむね順調に進展しているものと判断している.
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今後の研究の推進方策 |
磁気混合流体ダンパおよび粒状体ダンパそれぞれについて,現象論的モデルの構築を試みる.そのために必要な基本的な減衰力特性のデータを実験によって得る.特に粒状体ダンパについて,粒子の材質,すなわち粒子の特性が減衰力特性に与える影響について明らかにする.また,磁性粒子を用いた粒状体ダンパについては,磁場印加方法を変更し,それによって減衰力特性がどのように変化するのか明らかにする.これらとは別に,実験装置およびダンパの大型化を図り,実機に近い状態での減衰力特性を調べる.なお,当初の研究計画で予定されていた磁気混合流体ゲルダンパについては,予想よりも小さな減衰力しか得られていないことから,今後新しい方策を検討する.
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次年度の研究費の使用計画 |
平成23年度に得られた研究成果を国内外の会議において発表するための旅費として使用する.また,実験装置およびダンパを大型化するため,必要な材料の購入に充てる.
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