研究課題/領域番号 |
23560260
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
安達 和彦 神戸大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30243322)
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キーワード | 機械力学・制御 / 振動発電 / 超磁歪材料 / 状態監視 / 機構設計 |
研究概要 |
平成24年度は、超磁歪素子を用いた片持ちはり型の共振式超磁歪振動発電装置を試作し、発電性能評価実験を行った。 超磁歪素子は、平成23年度と同様にTerfenol-D材の円柱形状品(直径6mm、長さ25mm)を縦割りにしたものを用い、アルミ製の片持ちはり形状の振動片の片面に超磁歪素子と永久磁石をエポキシ樹脂接着剤で取り付けた。超磁歪素子を取り付けたアルミ製振動片に発電用コイルを巻き付けて発電装置を構成した。 試作した発電装置の共振周波数は73.23Hzであった。加振強度は、過去に試作した圧電振動発電装置での加振強度と同じ0.71mm/s(RMS)および、2倍、5倍、10倍、20倍、50倍と100倍とした。100倍すなわち、71mm/s(RMS)の加振強度での加振時に、超磁歪素子の破損は確認されなかった。発電性能は、発電コイルの抵抗値が30Ωであったので、デジタルマルチメータ(入力インピーダンス10MΩ)で発生電圧を測定し、開放電圧と見做して評価した。発生電圧は、加振強度0.71mm/s(RMS)で0.09mV、加振強度71mm/s(RMS)で5.9mVであった。推定発生電力は加振強度71mm/s(RMS)で0.6μWであり、過去に試作した圧電振動発電装置での発電性能実績100μW(60Hz、加振強度0.71mm/s(RMS))に比べて大幅に下回った。発生電力が非常に僅かであることは、試作した超磁歪振動発電装置で磁気回路が閉じていないことが原因と推定され、磁気回路を閉じることができる改良型の発電装置の設計を行った。 超磁歪素子を用いた振動発電については、振動工学分野では平成24年度は新しい研究発表は確認できなかった。超磁歪振動発電において国内で先行する金沢大学の上野敏幸准教授らグループの特許情報が公開され、当該特許を回避可能と考えられる発電機構の基礎設計を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成24年度の当初計画課題は、超磁歪素子と圧電素子を組み合わせた片持ちはり型の機械共振式のハイブリッドマイクロパワージェネレータHMPGの第1次試作であった。平成24年度は超磁歪素子単体の振動発電特性を実測評価したが、圧電振動発電での発電性能実績に比べて非常に低く、改良型の超磁歪振動発電装置での再評価が課題として残った。 一方で、超磁歪振動発電装置の基本設計が概ね出来上がったことで、平成24年度の遅れを含めて最終年度で成果取りまとめの見通しが立った。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は、平成24年度に実測評価できた超磁歪素子単体の振動発電特性に基づき、超磁歪素子と圧電素子を組み合わせて片持ちはり型の機械共振式のハイブリッドマイクロパワージェネレータHMPGを設計・試作する。試作したHMPGの発電特性を実験的に評価し、発電効率を実測評価する。また、数値シミュレーションにより試作したHMPGの発電特性を解析する。平成24年度に得られた研究成果を米国機械学会スマート構造スマート構造国際会議(SMASIS2013)で発表する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度の支出項目の端数により189円の研究費が平成25年度に繰り越すこととなった。この繰り越し分と平成25年度に請求する研究費を合わせて、以下の用途に使用する。物品費として、数値シミュレーション用の構造解析ソフトと超磁歪・圧電材料を購入する。旅費として、米国機械学会スマート構造スマート構造国際会議(SMASIS2013)他で研究成果発表のための国内・外国旅費を予定する。その他の費用として、前記研究成果発表の学会参加登録費と論文投稿料を予定する。
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