研究課題/領域番号 |
23560267
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研究機関 | 青山学院大学 |
研究代表者 |
小林 信之 青山学院大学, 理工学部, 教授 (70276020)
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研究分担者 |
菅原 佳城 秋田大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10422320)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | multibody dynamics / 極柔軟梁 / 振動制御 / 柔軟マルチボディダイナミクス |
研究概要 |
本年度は初年度であるため,大変形・大回転を伴う極柔軟体の非線形挙動解析を,精度を保持しつつ低次元化することを目的に,以下の項目について,研究を行った.1.3次元極柔軟梁のシステム自由度の低次元化手法の開発 大回転・大変形を伴う3次元極柔軟梁の曲げ・伸びを考慮したANCFの形状関数を3次多項式と固有関数の線形和で表現する定式化を行い,低次元化したBernoulli-Euler梁の運動方程式を導いた.また,その運動方程式を時刻歴積分して応答を求める計算プログラムを作成した.その計算プログラムを用いて幾つかの数値シミュレーションを実施し,低次元化を行わない従来のANCFによる数値シミュレーション結果との比較を行い,本研究の低次元化手法がある程度自由度を縮退しても十分な精度を有することを確認した.2.3次元極柔軟梁の低次元化手法の検証実験 1.で開発した大回転・大変形を伴う3次元極柔軟梁の動的挙動に関する応答計算結果を検証するために,空気抵抗の影響を排除したアクリル製真空チャンバ内で初期に吊り下げられたPET樹脂製梁の上端をアームにより旋回させるスピンアップ実験を行うための実験装置を製作した.この実験装置においては,アームの角加速度が大きく,かつ遠心力および重力による梁長手方向軸力が小さい間は,接線方向の慣性力により3次元極柔軟梁に大きな曲げ変形が生じるが,角速度の増加に伴い遠心力により梁の軸力が増大し,その幾何剛性効果によって曲げ変形は急速に小さくなるように工夫を行った.予備実験の結果,予定していた挙動に近い応答は得られたが,真空保持のためのモーター回転部のシール機構やモーター制御に不都合があり,本研究の低次元化手法の検証を行うのに十分な結果を得ることはできなかった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
低次元化手法の開発,定式化および計算プログラム化までは予定通り達成した.ただし,製作した実験装置が目的のための機能を十分発揮できないため,2012年度において改良が必要である.
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今後の研究の推進方策 |
昨年度十分でなかった3次元極柔軟梁の低次元化手法の検証実験を行い,2012年度計画である低次元化3次元梁要素を平面的に組み上げた網状柔軟体のモデル構築,極柔軟梁の制御系の試設計を行い,数値シミュレーションにより動的に非線形挙動をする極柔軟梁の制御系の性能を明らかにする.なお,昨年度予備実験で実験装置に不都合があることが分かったので,その検討が終わるまで本実験用の部品購入を見送ったため「次年度使用額」(224,633円)が生じた.今年度で不都合を改良して検証実験を行う.
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次年度の研究費の使用計画 |
低次元化手法の検証用実験装置の改良のための部品等の購入,制御系構築のためのモータとQuaRC用デジタルカメラ等の購入,2012年度成果発表のための会議参加費と旅費に使用する.
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