研究課題/領域番号 |
23560270
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研究機関 | 湘南工科大学 |
研究代表者 |
西田 英一 湘南工科大学, 工学部, 教授 (70410032)
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研究分担者 |
濱川 洋充 大分大学, 工学部, 教授 (30243893)
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キーワード | 音響共鳴 / 熱交換器管群 / カルマン渦 / 自励振動 / 渦/音響相互作用 |
研究概要 |
管群をダクトに内蔵する熱交換器気柱振動の設計段階での予測および抑止方法の開発に向け、今年度は、この現象を支配する2つのフィードバックシステム(渦の強度が共鳴音場により増大する“強度フィードバック”、渦放出の同期化が共鳴音場により促進される“同期化フィードバック”に関する定式化を完了した。その特徴は、気柱ー渦間の相互作用に関する、過去の実験で明らかになった知見を反映可能にすべく、管振動ー渦間の相互作用を後流振動子(wake oscillator)モデルを用いて簡潔に表していることである。特に、このモデル化における最大の難関である“同期化フィードバック”では、渦放出現象が空間的にも時間的にもランダムな要素を含むことから、この特徴を反映すべく、統計的なモデル化手法を導入気柱ー渦間の相互作用を扱っている。以上の方針の下、このモデルに関する定式化を行った。 これと並行して、このモデリング手法の風洞実験による検証を試みた結果、“同期化フィードバック”に関しては、提案法は、空間的な渦放出の同期化現象を数少ないパラメータにより高精度にシミュレートできることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
対象となる共鳴現象の設計段階での予測における最大の隘路である「空間的な渦放出の同期化現象を、本提案手法のモデル化により数少ないパラメータにより高精度にシミュレートできる」ことが確認できたことが理由である。具体的には、このパラメータの同定のための定式化手法を開発し、これを、実機ボイラの管群部を模擬した1/30スケール模型の風洞実験データに適用した。実験では、管群内の特定の管の表面圧の計測センサを開発し、このデータを用いてパラメータ同定を行い、空間的な渦放出の同期化現象を数少ないパラメータにより高精度にシミュレートできることを確認した。
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今後の研究の推進方策 |
残された課題(”強度フィードバック”のモデル化とその実験検証により、共鳴予測手法を完成する。また、種々の管群部設計条件(配列形式、配列ピッチなど)での実験検証を行い、管群部設計条件が与えられた場合の共鳴発生限界流速の予測法を開発し、その信頼性を実験実証する。なお、管ピッチが不等な場合、多段の管群に代表されるより複雑な管群構造を有する熱交換器については今後の課題となる見通しである。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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