研究課題/領域番号 |
23560272
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
小泉 孝之 同志社大学, 理工学部, 教授 (20247795)
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キーワード | 国際情報交流 |
研究概要 |
研究代表者らは3歳児多体人体モデルと有限要素法人体モデルを用いてチャイルドシートの安全性向上を図っている.その具体的方法として前面衝突時にチャイルドシートのハーネスの長さを調節する事で過大な加速度が幼児の頭部に掛かるのを緩和する制御方法を考案し,数値シミュレーションによって検証を行った.24年度の主たる成果は実際の前面衝突時を想定した入力に対する制御モデルを想定しシミュレーションを行った結果,頭部傷害値を50%低減できる事を示した.一方幼児の虐待防止に関連し,特に脳への重篤な傷害を及ぼすと考えられる揺すぶられ症状群に着目した研究課題に対する取り組みにおいても顕著な成果を得ている.24年度の主たる成果は,頭蓋と脳の相対変位が観測可能な幼児頭蓋モデルと加振機を用いて行った実験結果に加えて,縫合と大泉門を含む頭蓋骨と左右大脳,小脳,脳幹からなる脳および脳脊髄液,膜類,架橋静脈などを含む高精度の有限要素モデルを構築し,衝撃入力に対する応答解析を実施した.その結果脳は頭蓋に対して回転相対運動が誘起され周波数応答特性を有する事,さらにその共振時と思われる2.5から3.0Hzの入力時架橋静脈の破断が発生する可能性が高いなど実際の事例を裏付ける多くの知見が得られた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
大規模シミュレーションの必要性が高く計算機の能力によって研究の進展が若干左右される面もあるが連続稼動などで対応している.実験は外部機関とも連携し実施中である.
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今後の研究の推進方策 |
当初立案した研究課題に対しおおむね順調に進展している.25年度が最終年度でありチャイルドシートに関しては制御機構を有するプロトタイプの実現を目指す.揺すぶられ症状群の解明は有限要素モデルの高信頼化をベースに実際の揺すぶり状態の完全な再現を大規模シミュレーションで行い現象の明示化と防止方法の提案まで進展させる.
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次年度の研究費の使用計画 |
加振実験で用いる各種センサー,収録用デバイス,データ処理用パソコンなどの実験機材.学会での成果発表時の旅費.その他大規模シミュレーションに関わる謝金費用.
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