研究課題/領域番号 |
23560276
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研究機関 | 豊田工業高等専門学校 |
研究代表者 |
近藤 尚生 豊田工業高等専門学校, 機械工学科, 教授 (30178420)
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キーワード | 機械力学・制御 / バルブアクチュエータ |
研究概要 |
一昨年度までに、有限要素法解析を用いて複数の突歯(磁極)を持つリニアバルブアクチュエータの磁場解析を行い、消費電力が一定で突歯を1~25枚に変化させたときの、アクチュエータの突歯枚数に対する推力と起磁力および全長寸法の関係を求めることができた。そして、アクチュエータのコイルに連続通電したときに発生するジュール熱による温度上昇の基礎検討を行い、伝熱特性を実験と有限要素法解析により調べた。これらの結果から、電磁特性と伝熱特性向上のための基礎検討用試作アクチュエータの設計を行うことができた。 昨年度は、さらに電磁特性と伝熱特性向上を目指し、以下の検討を行った。 まず、電磁特性向上のために、アクチュエータの突歯(磁極)形状を変えて有限要素法解析と実験用アクチュエータによる実験結果より電磁特性を比較検討した。具体的には、磁極形状が矩形形状、段付形状、丸溝形状、三角溝形状の4種類の場合について電磁特性を比較検討した。その結果、三角溝形状あるいは丸溝形状にすると、突歯を軸方向に多数並べた場合、隣接歯どうしの磁気的な干渉は少なく、高い推力が得られることが分かった。次に、伝熱特性による温度上昇については、アクチュエータにフィンを取り付けることにより、コイル消費電力を1.5~2倍程度に引き上げても飽和温度が同程度に抑えられることが実験的に分かった。しかし、この伝熱特性は有限要素法による熱・流体解析と実験結果が十分に合っておらず、この解析をアクチュエータとその周りの空気層界面の流体解析モデルの種類を層流、乱流のk-ε、SST等に変えて解析と実験結果を比較検討した。その結果、解析モデルや解析方法を適宜選択することにより解析結果を実験結果に近づけることができた。 これらの結果より、電磁特性と伝熱特性をさらに向上させるための試作アクチュエータの設計を行うことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究実施計画であるリニアバルブアクチュエータのステータとアーマチャの複数磁極の形状を変えた場合の電磁特性を、有限要素法三次元磁場解析と実験の両面から求め、比較検討を行った。その結果、本研究の高推力なアクチュエータ設計に適する磁極形状を明らかにできた。また、アクチュエータの伝熱特性向上の基礎検討として、アクチュエータの放熱設計基礎検討のための三次元熱・流体解析を有限要素法で行い、伝熱・流体モデルをいくつか変えて解析結果と実験結果を比較検討した。その結果、解析モデルや解析方法を適宜選択すれば、両者の一致状態が向上し、有限要素法による熱・流体解析を伝熱設計に生かせる目途がついた。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度で新しく設計を行った特性検討用試作リニアバルブアクチュエータを製作して、電磁特性および伝熱特性の検討を行い、アクチュエータに供給された電力に対して高い推力が得られるかを実験面と解析面から評価を行う。さらに伝熱特性を向上させるための検討として、アクチュエータ表面に設けたフィン等の突起や溝が電磁特性にどのように影響をおよぼすかを解析と実験から検討する。これらの評価・検討から、さらに電磁特性、伝熱特性の改善を図った設計を行い、特性向上を図る。
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次年度の研究費の使用計画 |
上述の研究遂行のために、解析に使用する有限要素法解析ソフト技術サポート、バージョンアップ料と、試作アクチュエータ部品(加工外注)および調査・研究旅費等に使用予定である。
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