研究課題/領域番号 |
23560276
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研究機関 | 豊田工業高等専門学校 |
研究代表者 |
近藤 尚生 豊田工業高等専門学校, 機械工学科, 教授 (30178420)
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キーワード | 機械力学・制御 / バルブアクチュエータ |
研究概要 |
平成24年度までに、有限要素法解析を用いて複数の突歯(磁極)を持つリニアバルブアクチュエータの磁場解析を行い、アーマチャ・ステータ間を流れる三次元的な磁束流れを明らかにした。複数の突歯構造のアクチュエータの場合に適した突歯形状の検討を行い、隣接歯どうしの磁気的な干渉が少ない三角溝や丸溝形状が良いことがわかった。また、対向する隣接歯から受ける前方向および後方向に働く吸引力から複数の突歯を持つアクチュエータの推力計算方法や、アクチュエータから周囲への伝熱の検討を行った。 平成25年度は、伝熱特性を向上させて、さらに推力特性を向上させる検討を行った。具体的には、角形ステータに丸溝を付けてステータ両側面にフィンを形成し、本アクチュエータの伝熱を促進してコイル温度の上昇を抑制し、消費電力の低減を図るとともに、コイル耐熱温度を考慮して、コイル電流を大きくしてアクチュエータの推力をさらに高める検討を行った。ステータにフィンを形成するための丸溝は、磁束流れの磁路中にあるため、この丸溝の形状寸法がアクチュエータの電磁特性に影響を及ぼさないようにするための検討を行った。そのため、フィンを形成するための丸溝は、ステータ両側面の磁束流れに沿って、ある半径寸法で形成して、磁路中の磁束流れが局部的に絞られて磁束密度が高くなり、アクチュエータ推力が低下することが無いか検討した。その結果、角形ステータの52mm×68mmの寸法の端面から見て両側面に半径R32.5mmの丸溝を形成してもアクチュエータの電磁特性に影響せず、フィンを形成できることが明らかになった。この結果に基づき、上述した寸法形状のフィンを丸溝により形成したステータを組み込んだアクチュエータを設計でき、アクチュエータ部品の製作ができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究実施計画であるリニアバルブアクチュエータの電磁特性および伝熱特性の検討を行った。特に伝熱特性を向上させるために、伝熱促進用フィンをステータ両側面に丸溝を新たに設けて形成する場合、ステータ中の磁束流れやアクチュエータの電磁特性に影響を与えないような形状寸法を有限要素法で三次元磁場解析で検討し、明らかにすることができた。また、前年度までに本研究の複数の突歯(磁極)を持つリニアバルブアクチュエータに適する突歯形状やアクチュエータ内の磁束流れを解析し、突歯が発生する力やアクチュエータ全体の推力を求める方法を明らかにしている。これらの結果を基にして、電磁特性と伝熱特性の向上を図ったアクチュエータを設計でき、アクチュエータ部品の製作ができている。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度に設計製作したリニアバルブアクチュエータ部品の組み立てを行い、電磁特性および伝熱特性の実験を行って、それぞれの性能を確認する。そして、設計検討してきた本アクチュエータの突歯(磁極)の形状、ピッチ、寸法などに対しての電磁特性の評価を行う。また、ステータにフィンを形成したことによる伝熱特性の評価を行う。これらにより、本リニアバルブアクチュエータの推力特性を実験と解析結果から総合的に評価、検討を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
試作アクチュエータ部品(加工外注)費および調査・研究旅費が予定よりも少ない額で当該年度の研究が遂行できたため。 翌年度の研究遂行のために、解析に使用する有限要素法解析ソフト技術サポート、バージョンアップ料と、試作アクチュエータ部品(加工外注)および研究発表旅費に使用予定である。
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